ロンドンに秋到来
今日、8月30日のロンドンの気温は最高17℃、最低12℃でした。北大西洋から冷たい風がイングランドに吹き込んでいました。
この一週間は天候も優れず、ずいぶんと気温が下がってきたことを実感します。日本と同じように最高気温が25℃以上の日を夏日と呼ぶならば、8月21日以降は夏日にはなっていません。
最高気温が17℃というのは東京の平均でいえば11月上旬から中旬に相当します。短い夏が終わり、秋が来たという感覚です。
街を歩くと、いろいろな秋らしいシーンに出会います。以下の写真は全て今日(8/30)のものです。
葉が茶色くなりかけた街路樹。
赤い実をつけた木々。
どんぐり。
コスモスの花。
綿の入ったジャケットを着こんだ人たち。毛糸の帽子も見かけました。
でも、まだ日は結構長いし、この前までの暑い日の記憶があるので、すぐには切り替えしない人もちらほら…
といっても、いろいろな民族的バックグラウンドを持つ人たちが混じったロンドンでは、服装もバラバラです。ダウンジャケットを着こんだ人と、ノースリーブやお腹を出したファッションの人が混在している程度で気に留めることはありません。
手元の和英辞典で「衣替え」を英語で何というかを引くと、'change into summer [winter] clothes'。Google翻訳では、’seasonal change of clothes’。説明調の表現しかないのは、ぴったりの用語がないということです。学校行事で一斉に夏服、冬服を切り替えるということもないのでしょうね。
ロンドンは北緯51度にあり、北海道の札幌の43度、宗谷岬の45度よりもはるかに北です。
でも、暖流の北大西洋海流(メキシコ湾流)の影響で温暖な西岸海洋性気候。極東に比べると冬は暖かい傾向があり、季節の移り変わりも少し違っています。
この夏の最高気温は7月31日の37℃でしたが、30℃を超えたのは7日間だけでした。
日本に帰る日が来たとき、夏の暑さに耐えられる自信がまったくありません。
ナイフは大人になってから (イギリスのナイフ犯罪と規制)
下記のブログで包丁を日本から持って来るのをお勧めしましたが、もう一つの理由があります。イギリスでは包丁を買うのが日本より面倒だからです。
これはロンドンの生活用品店、Robert Dyasの調理用品売り場です。刃物が施錠されたケースに保管されています。なので、間近で製品を検討することが難しいのです。
注意書きには、2019年から18歳以下には武器になりえる包丁(knife)などを販売できない、ケースを開ける場合は25歳未満に見える人には身分証明書の提示を求めるとあります。
Amazon UK等の通信販売で購入する場合も、受け取り時に配達人に写真付きの身分証明書を見せて、サインをする必要があります。
武器になりえると書きましたが、洋式の包丁(Knife、ナイフと呼びます)を見ると、日本の三徳包丁よりも先端がとがっていて、細身のものが多く、握りもしっかりしていて、確かに刺突用に向いています。
イギリスでは数年来、ナイフ等による犯罪'Knife Crime'が多発していて社会問題になっているのです。このニュースによれば、イングランドとウェールズ(合計の人口は日本の約半数)におけるナイフ犯罪の件数は1年間に46,265件で、前年より6%増加(ロンドンは7%増加)です。1日当たり126.8件、11分に1件とは…
また、1年間の殺人の内、256人が刺殺されています。
十代の犠牲者、傷害被害者も多く発生しており、その対策の一環として18歳未満へのナイフ類の販売が、武器的な刃物の所持と同時に禁止されました。その規制がこちら。
この規制内容は次の通りです。(Knifeを刃物と訳しています)
- 18歳未満への3インチ(7.6cm)を超える刃物の販売禁止
- 正当な理由なく刃物を所持することの禁止(刃渡り3インチ以下の折り畳み式を除く)
- 禁止された種類の刃物の所持、売買の禁止
- 刃物を使った脅迫の禁止(禁止されていない刃物を含む)
ここには武器と認定されて禁止されたものが19種類も挙げられています。
例えば、バタフライナイフ、仕込みナイフ(ベルトのバックル、携帯電話等に偽装したもの)、フリックナイフ(飛び出しナイフ、「スイッチブレード」)。刃物ではありませんが、吹き矢や特殊警棒も入っています。
おやおやと思うのが、'Samurai sword'「サムライソード、日本刀」、'Hollow kubotan'「クボタン」(空手由来の護身具)、'Shuriken'「手裏剣」、'Kusari-gama'「鎖鎌」、'Kyoketsu-shoge'「距跋渉毛」(忍者の武器)、'Kusari or Manrikigusari’「分銅鎖、万力鎖」と日本起源のものが6つも入っています。イギリスではSamurai、Ninjaがそこまで流行っているんでしょうか。
でも、ここまで事細かに挙げて禁止にしなければならないほど、様々な危険な武器が出回っているともいえます。
2019年に規制される前はアマゾンやeBayでも'Zombie knife'(ゾンビナイフ、ホラー映画の戦いに出てくるような大型のナイフ)などが購入できたのであり、未だに多数が出回っていると推測されます。
これは2018年、ロンドン南部の比較的治安が悪いといわれるクロイドン(Croydon)でのショッキングな映像です。
街中に何食わぬ顔でゾンビナイフを持ち歩いている人が紛れ込んでいるかと思うと、寒気がしてきます。
木苺はすぐそばに (ロンドンでブラックベリー)
子供の頃、翻訳物の童話に「きいちご」がよく出てきました。森で道に迷ってお腹がすいて、木いちごをみつけて夢中で食べたといったストーリー。
でも、子供の時分にはそれがどんな食べ物かを知らず、木にイチゴ(ストロベリー)が実っているような想像をしていました。イチゴといえば、ストロベリーか小さくて不味いヘビイチゴでしたから。
さて、初夏にロンドン郊外の公園や住宅地を歩いていると、このような白い花に出会ます。ブラックベリー(Blackberry)の花です。
上の写真はロンドンの西を流れるブレント川(River Brent)の川岸で見かけたもの。下の記事に載せたイーリング(Ealing)のPitshanger Parkを流れています。
(ちょっと童話に出てきそうな森か林の感じ)
このブラックベリーが実るのが7月末から8月。
摘み取って食べてみると、甘酸っぱく、プチプチした食感があります。
風味があって意外に美味しいとは思いますが、たくさん食べるものではありませんね。種もじゃまだし。庭などで沢山できたときはジュースやジャムにすることもあるようです。
ただし、十分に熟して黒く、柔らかくなったものでないと、酸っぱいので要注意。
もう一つ、注意しなければならないのはトゲトゲ。バラの仲間ですから。
とても生命力が旺盛なつる性の木で、盛夏には枝を精いっぱい延ばしているので、うっかりその茂みに短パンで足を踏み入れてしまうとひどい目に遭います。
公園や空き地の隅、崖下や河原などに広がるトラップのようなものです。
ブラックベリーを摘んでいると、子供の頃に同じように摘んで食べた桑の実を思い出します。童話を読んだころに、桑の実と同じようなものと知っていれば、実感が湧いたでしょう。
実際に、桑の実はマルベリー(Mulberry)という名で木いちごの一種に数えられています。
とはいえ、ロンドンのお店で見るベリーはブルーベリー(Blueberry)とラズベリー(Raspberry)がほとんどですが。
※ロンドンのタウン誌TimeOutのウェブページに、ブラックベリー摘みができる場所が紹介されていたので、リンクを追加しておきます。
マスクをしないと罰金44万円? (イギリスの罰金制度)
イギリスではコロナウイルス感染対策として、公共交通機関に乗るとき、及び公共の屋内(駅、店舗等)ではマスク等のフェイスカバー着用が義務付けられています。
下記の記事では違反者の罰金を100ポンド(約14000円)と書きましたが、それが値上がりしました。
先日、対策強化のためにその罰金が増額されると、Eメール配信の日本語ニュースに載っていたのですが、金額を見て驚きました。
3,200ポンド? (約44万円)
確認すべく、"face coverings fine 3200"のキーワードで検索して事情がわかりました。
マスク等のフェイスカバー着用義務に違反した場合の罰金は、最初は100ポンドなのですが、これを繰り返すと次からは200ポンド、400ポンドと倍々に増えて、「最大で」3200ポンドになるということでした。
このどんどん増えていくというのが面白いところです。
イギリスの罰金は期限以内に払うと減額されるものや、期限を超えるといきなりかなりの増額になるものがよくあります。
交通違反の罰金がよい例で、速度超過や通行区分違反等の罰金は2週間以内に払うと半額です(詳細は自治体によって違うらしいですが)。日本のように金融機関に用紙を持って行かなくても、クレジットカードでオンラインで支払うことができます。また、払わずに4週間が経ってしまうと大幅に増額されます。
所得税の申告に関する通知書も同様で、期限までに支払わないと次は幾らの罰金と、警告が付いていました。
タバコのポイ捨ての罰金も同様です。例えばロンドンのシティの場合は、150ポンドの罰金が、10日以内に払えば80ポンドに減額されます。
https://news.cityoflondon.gov.uk/new-clampdown-on-city-littering-as-fines-rise/
イギリスでは、駅の周りなどはタバコの吸い殻のポイ捨てだらけですが、取り締まりに見つかれば罰金なので要注意です。私の知り合いは、そこらにいっぱい落ちていると抗議したのですが、当然ながら聞き入れられませんでした。
この倍々ゲームで最大3200ポンドというのも、その思想に従っているようです。
しかし、5回も違反する人っているんですかね?
実際に地下鉄に乗っていると、マスクを着けていない人も時々見かけます。
私の印象では、若い男性か中年の男性で、身体が大きく、「態度がでかい」タイプに多いようです。一緒にいるガールフレンドや家族も付けていなかったり。
そんなタイプには違反を繰り返さないように、このくらいの厳しい警告を伝えておく必要があるのかもしれません。
イギリスを含むヨーロッパの各国では、以前にはマスクをするという習慣がありませんでした。それが今では多少のルールの違いはあれども、ドイツ、フランス、イタリア、アイルランド、ベルギー、デンマーク、ポーランド等でも店舗や交通機関でのマスク着用が義務化されています。
となると、急速に様々なマスクが出回るようになり、しゃれたデザインのものを着用する人も増えてきました。(下の写真はマネキンですが)
日本ではこの夏も白いマスクが主流なのでしょうか?
日本の包丁が好き (イギリスに持って来てよかったもの1)
イギリス駐在になって日本で準備して持ってきたものについては、下記の記事にまとめましたが、幾らか補足したいと思います。今回は調理に使う包丁について。
ロンドンで入居したフラットは家具付き(Furnished)で、調理用品や食器も少しありました。そこにあった包丁、というよりナイフ(Knife)のセットがこれです。
大小5本組で、別に専用のホルダーもついていて実に立派です。
でも、残念ながらどうも使いにくいのです。
日本から持ってきた包丁と比べてみると、この通り。
上がイギリスのシェフナイフ、下が日本で広く使われている三徳包丁です。大きさは同じくらいなのですが…
まず、刃の部分の曲がり方が違います。イギリスの包丁は反りが大きくて、大きめの野菜を切るときは押し下げながら角度をつける必要があります。
次に厚み。包丁の背で比べると、日本の方が若干薄いだけですが、そこから刃に向かって連続的に薄くなっています。つまり、背から刃にむけて細長い逆三角形▽。
イギリスの方は背からずっと同じ厚みで、刃まで1cmくらいのところから急に斜めになっています(さかさまにした家型)。下の写真の通り、柄の近くには刃が付いていないのが見えますが、ここは背と同じ厚みです。セットのペティナイフも同じく分厚く、リンゴの皮むきなどしていても、どうも使いにくい。
さらに、どのナイフも切れ味が悪い。私は爪に刃を当てて切れ味を調べるのですが、どのナイフもつるつる滑って不合格。これは前の入居者の使い方が悪いのかもしれませんが。
というわけで、やはり使い慣れた日本の包丁が好きと結論されました。
その日本から持ってきた包丁はこの二つ。
まず、上の写真で示したヘンケルス(Henckels)の三徳包丁(18cm)。ヘンケルスブランドですが日本製(関刃物)です。
そして、スイス・アーミーナイフでお馴染みのヴィクトリノックスの果物ナイフ。
本当に果物専用にしていますが、シンプルイズベストで使いやすい。しかも、安い(笑)
実はイギリスのアマゾンでも三徳包丁を'Santoku knife'として売っていて、ヘンケルスの18cmもあります。でも、54.65ポンド(約7600円)もしますから、日本から持って行った方がずっとお得でしょう(笑)
ヴィクトリノックスの方は5.99ポンド(約830円) で、日本で買うのとほとんど同じ。こちらは日本の包丁ともいえないですね。写真でもわかる通り、このブランドが好きなだけで(笑)
ただし、どんな包丁でも使っている内に切れ味が落ちてきます。
なので、愛用しているのが中・仕上げがセットになったコンビ砥石。簡易研ぎ機(シャープナー)よりも面倒ですが、しっかり切れ味が回復します。
さて、日本の包丁ばかりを持ち上げましたが、イギリスのスーパーで肉のコーナーを見ると、分厚くて細長い包丁が重宝がられている理由も理解できます。
ブロックやステーキ用の分厚いビーフやラム、丸ごとのチキンなど、大きい肉の塊がたくさん売られています。そして、薄切り肉はどこにも見当たりません。
これらを切るのには、厚手の先端のとがったナイフの方が便利なのでしょう。
イギリスに引っ越して、食事をイギリス式の肉食にスパッと切り替えられる方は、洋式の包丁の方があるいは便利かも。
でも、キャベツの千切りも好きだし、ブロック肉を薄切りにしてお好み焼き等もたまには作りたい、リンゴは丸かじりじゃなくて皮をむきたいという方、ナイフを何本も使い分けるなんて面倒という方には、日本式の包丁を持って来るのを強くお勧めします。
イートアウトtoヘルプアウトは実に簡単 (イギリス版Go to イート?)
イギリスの外食産業支援策、"Eat Out to Help Out"が始まって半月が経ちました。
この制度は登録されたレストラン、カフェ等での飲食費の半分を一人当たり最高10ポンド(約1400円)まで政府が補助するというものです。8月の月・火・水曜日のみ有効で、お酒は対象外です。
外食(Eat Out)して、お店を助けましょう(Help Out)。半額は政府が持つから、半額は皆さんで出してねといったところ。
この間、2回利用してみましたが、利用方法は実に簡単でした。支払い時に割引済みの料金が示されて、その金額を払うだけ。
このアラブ風カレーとマンゴージュースで12ポンドのところが6ポンド(約840円)に。(デフレが続いた日本と比べると元が高いのですが…)
このホットチキンサンドとアイスコーヒーも同じく12ポンドが6ポンドに。
事前予約とか次回使えるクーポン券といった、日本の「Go to イート」で検討されているような面倒な手続きは、客側では一切ありません。
念のために、注文の前に使えるかを確認しましたが、持ち帰りでなければ10ポンドまで大丈夫という回答でした。そういえば、両方ともお酒を出さない店だったので、その注意はありませんでしたね。
この制度のため、お店側にすれば、平日の内、月・火・水が忙しく、木・金は客が少ないという状況も発生しているようです。私が行こうとしたレストランでも、待ち行列が長くてあきらめたところがありました。
こちらのニュースによると、忙しさによる従業員のストレスや、サービス低下による客側の不満が生じるので適用をやめた店もあるとか。
第一週の8/3,4,5には10,540,394件の適用があり、1件当たりの平均適用額は5ポンド程度(意外と少ないのはコーヒー1杯でも利用できるから?)で、売り上げは1/3程増えたと財務省は評価しています。
日本風料理店ワガママでの写真をインスタグラムに載せたスナク財務相もごきげんの様子。
登録店は 8/11時点で8万3千件に上ります。レストランチェーンでこの制度を適用されているところは下記のリンクに掲載されており、ピザ・エキスプレス、スターバックス、プレタマンジェ、カフェ・ネロ、ワガママ、ナンドスなどお馴染みのお店が多数あります。
これらのレストランチェーンの中には、この制度が利用できるお得メニューを用意しているところもあります。
マクドナルドのビッグマック&ポテトのセットやバーガーキングのワッパーバーガーが1ポンド、KFCのフライドチキン9個が3ポンド、パブチェーンのウェザースプーンの火曜日ステーキセットが 4.23ポンドなど。
この適用期間も残り半月。さて、次はどこにしようか…
VJ Day 75 (対日戦勝記念日に何を見たか)
今日、8月15日はイギリスにおいては75周年の対日戦勝記念日(Victory over Japan Day)、VJ Day 75です。
日本が降伏し、第二次世界大戦が勝利で終わった記念の日として、イベントやテレビの特別番組がありました。
前の記事に書いた通り、今日、何を見聞きしたかを書きたいと思います。といっても、特筆すべき何かがあったわけではないのですが…
イギリスの公式記念式典は、マンチェスターの北東、スタフォードシャー州の国立記念植物園(The National Memorial Arboretum)で行われました。緑豊富な植物園が戦没者追悼の場所になっています。
Home | National Memorial Arboretum
チャールズ皇太子(Charles, Prince of Wales)とカミラ夫人(Camilla, Duchess of Cornwall) がジョンソン首相と共に参列し、2分間の黙祷の後、献花とスピーチを行いました
その様子を中継するBBCの特別番組は、当時を知る方々の証言や東南アジアで何があったかを静かに語る内容で、緑の風景とマッチしていました。
証言者の方々は90代半ばから100歳で、この記憶を語ることができる最後の時期であることがわかります。
テレビニュースでは日本での戦没者追悼式における天皇陛下、安倍首相の映像が流れました。靖国神社を巡る問題を現地からの中継で伝えた番組もあります。
こちらの30代の知り合いと話したのですが、彼は今日が何の日かをまったく知りませんでした。
街を歩いてみても、5月8日のヨーロッパ戦勝記念日、VE Dayに見られたような家の飾りつけは見られませんでした。
後刻、一つだけ見つけたのがこちら。テムズ河畔でのガーデンパーティーの跡のような感じです。
VJのところに修正がありますが、どうやら最初にVEと書いていたらしく、VJ Dayが対ドイツ戦の記念日よりもかなり印象が薄いことがうかがわれます。
実は、この夕方にロンドン上空を英空軍の飛行チーム、レッドアローズ(The Red Arrows)が編隊飛行をする予定で、それを見に行ったのです。
場所はフラムからテムズ川に掛かるパトニー橋(Putney Bridge)。見通しの効く場所なのでかなりの人が集まっていました。
その中には退役軍人と思われる方がいて、その服装と胸の勲章、毅然とした態度としゃんと伸びた背筋が印象的です。
ところが、予定時刻になっても赤い機体が現れません。この飛行は悪天候のために中止になってしまいました。下記のツイッターでそれを知って、この方にもお知らせしたのですが、残念だ、ありがとうと会話できたのは、今日の思い出の一つです。
Sadly, the appalling weather - as seen here on approach into @RAFBrizeNorton this afternoon - has forced us to cancel today’s flypast over #London for #VJDay75. Very disappointing but safety always our first priority. #RedArrows pic.twitter.com/nEd4BTZhBp
— Red Arrows (@rafredarrows) 2020年8月15日
そして、夜20:30からBBCでVJ Day 75の特別番組がありました。
ロンドン中心部、ウェストミンスターのホース・ガーズ・パレード(Horse Guards Parade)で行われたイベントの中継です。
軍楽隊のマーチのメドレー演奏から始まりましたが、その最後の一曲がクワイ河マーチ。このお馴染みの行進曲はイギリス人捕虜の収容所を舞台にした映画『戦場にかける橋(The Bridge on The River Kwai)』のテーマです。
ウィリアム王子(William, Duke of Cambridge)の行ったスピーチでは、曾祖父であるジョージ6世の終戦時のスピーチを引用していました。
今年、様々な機会に聞いたヴェラ・リンさん(Dame Vera Lynn)の曲が、ここでも流れます。
この番組では音楽と、対日戦での兵士や現地での日本軍占領を経験した人等の証言が交互に繰り返されました。全体としては祝賀ムードや勇ましい映像はわずかで、イギリス本国から遠く離れた東南アジアでの苦戦やジャングルでの苦労、日本軍による捕虜の過酷な扱い、日本占領下での市民の困窮や飢餓等が、やはり静かなトーンとイメージ映像で語られるというものでした。
日本人として違和感があったのは広島、長崎への原爆投下が戦争を終わらせたというナレーションでした。この後に続いた様々な意見の中には否定的なものもあったのですが。
このように、VJ Dayの当日にそれを感じさせるものは主にテレビ映像であり、それは当時を振り返り、記憶しようという内容であったという印象です。
終戦から75年。日本と同様に、イギリスでも第2次世界大戦の直接の記憶は薄れつつあるようです。
今日のイベントの数々は、それを残そうとする試みでしたが、従軍や現地で苦労された方々をリスペクトしながら、ことさらに勇ましさや悲惨さを強調せずに両方を伝えていこうという姿勢を感じました。