イギリスのロックダウン緩和 (地域変わればルールも変わる)
5/28にジョンソン首相が声明を出し、6/1以降、ロックダウンの緩和を進めると発表しました。
Prime Minister's statement on the five tests: 28 May 2020 - GOV.UK
ところが、これが適用されるのはイングランドのみで、イギリス、正しくはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland, UK)の他の3地域、すなわちウェールズ、スコットランド、北アイルランドでは異なります。
主な発表内容ですが、まず、6/1から6人まで屋外で会うことができるようになります(これまでは2人まで)。ただし、屋外でソーシャルディスタンスを取る必要があるのは従来通り。飲食物や食器を共用してはいけません。
会うために遠方に移動するのは可能(これまでは仕事とレクリエーション限定)。ただし外泊は不可。
自動車のショールームと屋外マーケットも営業でき、小学校が再開されます。
細かいところでは、ゴルフの人数制限が2人から4人へ、テニスはシングルスからダブルスに緩和されます。どちらのスポーツもイギリスらしいですね。サッカー、ラグビーのような接触するスポーツは未だ禁止です。
生活必需品以外のお店の再開は6/15から。これは6/1を期待して準備していた人たちには残念でした。
でも、前回の規制緩和が5/11-13になされたことを考えると、5/28時点ではその影響を判断するには未だ早いのでやむを得ないかと。
その他、細かいQ&Aが政府のウェブページに載っています。
Coronavirus outbreak FAQs: what you can and can't do - GOV.UK
この規制緩和にイングランド以外の3地域が従いません。これらの地域にはそれぞれの自治政府と議会があり、一部の権限委譲を受けているため、5/11の段階でも少しずつ異なるロックダウン政策を取ってきました。
今後集まってもよい人数は、スコットランドは8人だけど2家族まで、ウェールズは別家族は不可、北アイルランドは6人。
6/15からの小売店再開はスコットランドとウェールズは適用せず。
学校の再開はスコットランドは8/11からで、他の地域は未定。
うーん、複雑すぎるので、このニュースの比較表をどうぞ。
各地域の境界付近に住んでいる人は困るでしょうね。
今回の規制緩和は、感染の専門家からは時期尚早といわれており、経済、及びメンタルへの影響をも考慮した政治的に決められた策だとされています。
どこをどのように緩和したらどの程度感染が増えるのか、データや実績がありませんから、具体的な内容は政府の判断でしょうね。
同様に、各地域の少しずつ違うロックダウン政策も、どの程度、感染への影響が違うか明らかではありません。
ならば、イングランドに足並みをそろえても大きな違いは出ないかもしれないのに、あえて少しずつ変えるのは、各自治政府が独自性をアピールしたいのではないかと勘繰ってしまいます。
それが各地域のアイデンティティを満足させるのかもしれませんが、この苦難の時期に混乱や違和感をあえて醸すのに疑問を感じるのは、私が異邦人だからでしょうか。
The Sunには、'Deunited Kingdom'「分離連合王国(?)」と呼ばれてしまいました…
まあ、実際には既に現場の判断で規制緩和が勝手に進んでいるので、どの地域でも似たようなものではないかと思います。(笑)