人種差別への抗議行動 in ロンドン (その3 プラカードのメッセージ)
前回の記事で書いた、6月6日のロンドン国会前広場で見かけた抗議メッセージをいくつか取り上げてみます。
意訳しているところもあります。
そのまま書くのを憚ったスラングは一部を伏字にしました。
誤りに気付いた場合は場合は修正する可能性があります。
"I'm not black but I see you. I'm not black but I hear you. I'm not black but I stand with YOU." (僕は黒人じゃないけどあなた達を見ている。黒人じゃないけどあなた達の言っていることはわかる。黒人じゃないけどあなた達を支持する。)
※"I hear you."は「わかっている」、"I stand with you."は「支持する」の意味にしました。"I see you."ももっと良い訳がありそうですが。
これを持っていたのは20歳くらいの白人男性でした。ソーシャルメディアに載せてもよいといってくれましたが、顔までは躊躇しました。
"Nation of sheep, ruled by wolves, run by pigs." (従順な羊たちの国 - 残虐な狼共によって統治され、無知な豚共によって運営される)
※羊、狼、豚のイメージを追加しました(動物たちにとっては迷惑でしょうけれど)。
豚は警察を指しているのでしょう。ACABは"All Cops Are Bus***d"で、警察を罵るフレーズの頭文字です。
"Black lives matter." (黒人の命が大事/尊重せよ)
"Imagine what isn't caught on camera." (カメラには写っていないものを想像するんだ)
"No justice, no peace." (正義がなければ平和なんてない)
"To ignore is to condone." ({この問題を}無視するのは、それを容認することだ)
"Justice for black lives. Peaceful protest." (黒人の命のための正義を。平和的な抗議活動を。)
"White silence = White violence" (白人の沈黙=白人による暴力)
"Silence is compliance." ({この差別に}沈黙しているのは従っているということだ)
※コンプライアンスが良い意味で使われていませんね。「悪法も法なり」で抑えるパワハラな人を知っていますが…
"Justice for Belly Mujinga." (ベリー・ムジンガに正義を)
※ベリー・ムジンガはロンドン・ビクトリア駅でコロナウイルス感染者に唾を吐かれて、感染、死亡した黒人の駅職員です。
"The UK is not innocent." (イギリスだって無罪ではない)
※現在のみならず、下記の歴史も含めているのでは?
"F**k (White) Supremacy. Silence is violence." (白人至上主義なんて××くらえ。沈黙は暴力だ。)
※'White'を補いました。
"All lives can't matter until black lives matter." (黒人の命が尊重されるまでは、全ての命が尊重されることなんてない)
"Love trumps hate." (愛は憎しみに勝る)
※日本のテレビで「トランプ嫌い!」と誤訳されたことで知られるレディー・ガガのフレーズですね。でも、'trump'はトランプ大統領にも掛けていますから、「愛は憎しみに勝るのよ>ミスター・トランプ」でどうでしょう?
(Google翻訳だと「愛の切り札は嫌いだ」。trumps{切り札の複数形}が主語なんですね…)
イギリスでの抗議行動は今日(6/7)もロンドンはもちろん、イギリス各地で行われました。
ブリストルではエドワード・コルストン(Edward Colston)の銅像が引き倒されました。街の発展に貢献した慈善家として顕彰されていましたが、奴隷貿易で財を成した人物であるのが攻撃された理由です。
この像は1998年に'Slave Trader'(奴隷商人)と落書きされており、それ以来20年以上も問題とされながら解決が図られずに来ていました。
そんな300年以上前の話に目くじら立てて破壊するとは何事かという人はいるでしょうか。今なお続く黒人差別を前にして。
ボブ・マーリー(Bob Marley & The Wailers)の"Redemption Song"の冒頭の歌詞です。
"Old pirates, yes, they rob I. Sold I to the merchant ships."
(昔、海賊共はオレを捕えて、奴隷船に売り飛ばしたのさ)
この歌が繰り返しカバーされ、広く歌い継がれている内は、そして過去に向き合って和解が図られるまでは、抗議と破壊の芽はなくならないと思います。
Bob Marley & The Wailers - Redemption Song