倫敦月/アラビア月

英国ロンドンとUAEドバイでの生活と見聞きしたこと、訪れた場所などのことを…

バスに乗るならフェイスカバー (イギリスのコロナウイルス対策)

イギリスのコロナウイルス対策として、6月15日から公共交通機関の利用時に「顔を覆うこと」が義務付けられます。

と、分りにくい表現をしましたが、政府の発表は"Face coverings to become mandatory on public transport"です。

www.gov.uk

これから'Face Covering'が義務付けられるというのですが、この発表の中では"Face coverings are not the same as face masks."(「顔を覆う」というのは必ずしもマスクということではない)といっています。

なぜなら、"It is important that people do not use medical grade PPE masks to ensure these remain available for frontline staff."({医療や必要不可欠な}最前線業務の従業者が入手できるよう、一般の人は医療用マスクは使わないのが重要)だからです。

3~4月はマスクを始めとする医療用の個人保護具(PPE, Personal Protective Equipment)の不足が大問題になっていましたし。

なので、"These face coverings should cover the mouth and nose while allowing the wearer to breathe comfortably and can be as simple as a scarf or bandana that ties behind the head to give a snug fit." (「顔を覆う」際は鼻と口を覆い、同時に息がしやすいようにしなければならず、スカーフやバンダナをしっかり密着するように頭の後ろで結ぶといった単純な方法でもよい)ということです。

なるほど、このイラストにはマスクの紐は見当たりませんね。(笑)

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pink-supermoon.hatenablog.com

 

マスク着用が普通な日本のニュースの見出しはこんな表現です。

  •  英、電車やバスでマスク義務 店再開にあわせ15日から (朝日新聞)
  •  英、マスク義務化へ…公共交通機関 (読売新聞)
  •   「口鼻にカバー」英が義務化へ 公共交通機関で (産経新聞) 
  •   英国、15日から公共交通機関でマスクなど着用義務付け (ロイター)
  •  イギリス、15日から公共交通機関でマスクなど顔を覆う物の着用義務付け (ニューズウィーク日本版)

「マスク」と言い切るのが多い中、産経新聞は説明調で、ニューズウィークが満点ですかね。

 

街中では不織布マスクの着用が多いのですが、西部劇の覆面のようにスカーフを使っている人もちらほら。

気付かないだけかもしれませんが、下記の政府広報にあるTシャツマスクはまだ見たことがありません。アベノマスクも。(笑)

www.gov.uk

日本で一般的な不織布のマスクは'surgical mask'(手術用マスク)といい、色は白よりも水色が多い気がします。黒も人気。医療用や作業用防塵マスクに見えるものを付けている人も見かけます。

 

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こちらは、ロンドン名物の二階建てバスに書かれたFace Coveringの表示です。こちらは紐付き。

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ドアに矢印が書いてあるのはこのバスでは前のドアから乗ってくださいとの表示です。次の写真の通り、運転手への感染防止のため、中央のドア(普段は降車用)から乗るバスもあるからです。

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この場合、中央のドアの表示には"Board hear."(ここから乗ってください)、"Allow passengers off first."(降りる人を優先してください)、"No need to touch in."(乗るときに{カードを}タッチする必要はありません)。

タッチして料金を引き去る装置は前方ドアの方にしかないからです。つまりコロナ対策期間限定で無料になっています。

 

先ほどの元通りに前方ドアから乗るバスの表示はこちら。

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"Fares in operation."(運賃をいただいています)、"You must touch in or you risk a fine."({料金用のカードを}タッチして乗らないと、罰金が科せられます)。

 

この'fine'はwell/good/enough(よい、大丈夫)、あるいはwith small grains/very thin(細かい)の意味の形容詞ではなくて、名詞で"​a sum of money that must be paid as punishment for breaking a law or rule" (法律や規則を破った罰として払わなければならない金額)、すなわち罰金です。

どちらの意味でも語源はフランス古語の'fin'、ラテン語の'finis'で'end'(終わり)の意味です。フランス映画やイタリア映画の終わりに、'fin'とか'fine'と出てくるあれですね。'finish'や'final'と一緒といえばイメージしやすいかと。

「罰金」の意味では、訴訟の決着として金を支払って終わりなのだとOxford Learner's Dictionaryにあります。「よい or 細かい」の意味ではこれ以上ない程に「よい or 細かい」ということでしょう。

でも、今のイギリス英語では'fine'ってそこまで最上の「よい」ところまでいかない感じがしますが…

特に"I'm fine."が「まあ大丈夫」とか「もう結構」の意味で使われているときは。

 

さて、上の写真でわかる通り、ソーシャルディスタンスを確保するため、二階建てバスでも20人までしか乗れません。二階のないバスは8~10人です。6月15日からは小売店が再開され、職場復帰する人も増えると思うのですが、通勤は大丈夫なのかな?