ゼロときどきオウ、所により一時ノート (英語で0の読み方)
BBCニュースを聞いていると、コロナウイルスの'R number'の説明で1未満の小数(0.何とか)を読むときに「ゼロ」と言っていません。「ノー」とか何とか言っています。
この'R number'は、ニュースがコロナウイルス一色だった5月初旬から、急によく聞くようになった語です。'Effective reproductive number'「実行再生産数」で、一人の感染者が新たに感染させる人の数を意味します。
これが1を超えると流行が拡大し、「0.何とか」にすれば流行が治まっていきます。
この、0の読み方なのですが…
そう、'nought'「ノート」と言っていたわけです。
ところが、学校で習う英語や各種の英会話教材でこの'nought'を聞いた記憶がありません。'zero'と読むアメリカ英語が主流だったからでしょうか。
Oxford Learner's Dictionaryでは'nought'⇒’(British English) the figure 0"「(イギリス英語)数字の0」と説明されています。
ここでの説明では"(also zero North American English, British English)"「アメリカ英語、イギリス英語では'zero'ともいう」とされていて、イギリス式でも'zero'と読むことも多いです。
でも、BBCニュースでは0が単独、または小数の頭にあるときは、'nought'と読んでいます。
例えば、このニュースの冒頭(0:07)での'R0'を"R nought"と。
次のニュースで、Rの数値を挙げるとき(4:04から)は、'0.7'を"nought point seven"、'0.2'を"nought point two"と。
Coronavirus warning: lockdown could be lifted then reimposed due to second wave - BBC News
ならば、小数点の後(右)に0があるときは?
やはり"nought"と読むときも"zero"と読むときもあります。
こちらのiTVニュースの0:21からの0.7と0.9は"nought point seven and nought point nine"ですが、1:00からの1.01は"one point zero one"です。
Worries that crucial 'R' number 'could be as high as one in parts of England' | ITV News
私自身は'nought'を使うつもりはありません。イギリス人以外のノンネイティブの方と英語で話すことも多いので、’zero'の聞き取りやすさを優先します。
0の他の読み方としてよく聞くのは"o"「オウ」または"oh"「オー」でしょう。
例えばスパイ小説・映画の007シリーズ。この予告編の0:37、1:20で「ダブルオー・セブン」と具体的に挙げるまでもないですか。(笑)
このように同じ数字を重ねるときは、'double oh'という風に「ダブル」で表現することはよくあります。電話番号、会員番号、クレジットカード番号等を電話で伝えたり聞いたりと、実際に使うチャンスも多くあります。
で、ちょっと変わった0の読み方があるのがスポーツ。
テニスで0を"love"「ラブ」と呼ぶのは日本でも同じですが、サッカーでは?
Jota beats Alexander-Arnold to win ePL title | BBC Sport
ただ今、ロックダウンのためイギリスのプロサッカー、プレミアリーグも休んでいますので、ePremia League (ePL)から。(笑 といいながら、大真面目にBBC制作)
0:45、2:41、2:55等では"two nil"、"one nil"のように、0を'nil'と言っています。OALDでは'nil'⇒"(especially British English) the number 0, especially as the score in some games"「(特にイギリス英語) 数字の0、特に試合の得点として」。
語源はラテン語の'nihil' (nothing、無)です。
虚無主義のニヒリズム(nihilism)の語源はまさにこれですね。
プレミアリーグは、無観客試合ですが、来週の水曜日(6/24)から再開されます。いよいよ、この'nil'が実際に使われるときが戻ってくるのです。