倫敦月/アラビア月

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グレンフェル・タワーの今 (大火災から3年)

グレンフェル・タワーはロンドン市街の西、ケンジントンの一角に立っていました…

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この記事で取り上げた、グレンフェル・タワー(The Grenfell Tower)の火災から3年。それがどんなところなのか、今、どうなっているのかを知りたくて、現地を訪れました。

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グレンフェル・タワーはロンドン市街の西部、ノッチング・ヒルにあった24階建ての公営住宅で、2017年6月14日未明に大火災により72名の犠牲者を出し、多くの人々の生活の場が失われました。

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地下鉄サークル・ライン、ハマースミス&シティ・ラインのラティマー・ロード(Latimer Road)駅の東隣にその建物はあります。ヒースロー空港から直通のパディントン(Paddington)駅からは直線距離で2km程です。

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現在は解体工事のため白いカバーで覆われており、上部には追悼と記憶のシンボルである緑のハートが描かれています。ロンドン西郊外のアクトンの丘の上からも見ることができました。

ビルの南西側には現在も入居している低層の集合住宅(上の写真の木々の奥)が3棟あり、このグレンフェル・タワーを含めて、カウンシル・エステート(Council estate)と呼ばれる公営団地を形成していました。

ロンドンのみならず、イギリスの各地にあるこの種の公営団地の入居者は低所得者層が多いとされています。

 

ビルの東側、解体工事現場とを区切る壁に、メモリアルのモザイクや様々なメッセージの書き込みがあり、追悼の場になっています。3年目のAnniversaryに備えられた花が、元気を失いながらも当日の様子を物語っていました。

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犠牲者には移民やマイノリティーが多かったとされています。壁のメッセージにはアラビア語等もあります。

'RIP' (Rest in Peace)「安らかに眠れ」と大勢の祈りが哀悼の呼びかけと共に書き込まれています。

'Justice'「正義を」の書き込みも多く見られます。火災原因の捜査が進んでいないこと、ビルの改装工事で用いられた外装材が延焼を引き起こしたと疑われているのに、その責任が未だ問われていないことに対する不満があります。

先の'RIP'は"Rest in Power"「力とともに眠れ」と、差別による犠牲者へのメッセージとして用いられることもあり、新しい"Black Lives Matter"の書き込みもあります。
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"We promise never to forget"「私たちは決して忘れないと約束する」と何度も繰り返すメッセージ・パネル。この日(6/21)も訪れた人達が祈りをささげていました。

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そして、グレンフェル・タワーからわずか数百メートルのノッティング・ヒル(Notting Hill)の街並みです。

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先の公営住宅との対比から、複雑な思いを抱かずにはいられません。

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