倫敦月/アラビア月

英国ロンドンとUAEドバイでの生活と見聞きしたこと、訪れた場所などのことを…

"Please queue here"「ここにお並びください」 (ロンドンで見た行列マーク)

ロンドンのお店、パブ、カフェ等が次々と再開して、街の活気が戻ってきています。

でも、まだコロナウイルスが消えたわけではないので、感染対策を取ることがそれらのお店の再開の条件とされています。

基本は人の間の距離を取る、ソーシャル・ディスタンシングですので、お店に入れる人数を制限するため、あちこちの入口に入店待ちの行列ができているのが、街中の普通の光景になりました。

その行列も2mずつ開ける必要があるので、あちこちにできたのがその立ち位置の目印です。これがいろいろなデザインがあって面白かったので、写真に撮って集めてみました。

すると、そこにある英文のお願いに幾つかのパターンがあるのです。

 

まず、一番よく見るのが'queue'を使うパターン。

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"Please queue here (at a safe distance)." 「ここにお並びください。(安全な距離で)」

"Please queue two metres apart." 「2m開けて並んでください。」

 

この'queue'はイギリスらしく、かつ、よく耳にする語です。ここでは動詞で意味は、

'queue' (British English) = "to wait in a line of people, vehicles, etc. in order to do something, get something or go somewhere" 「何かをしたり、何かを入手したり、どこかへ行くために人や車等が列になって待つ」

 

名詞としても使われます。

'queue' = (British English) a line of people, cars, etc. waiting for something or to do something 「(イギリス英語) 人、車等が何かを待つときや、何かをするときの列」

イギリス以外では'wait in line'が普通だと思います。

私は最初にこれを聞き取れず、スーパーのセルフレジの列に気が付かずに入ろうとして、注意されたときに「キュー」とか何とか言われたなと振り返って、初めて気が付きました。コンピューター用語として、「待ち行列」=「キュー」と覚えていたのが役立ちました。

しかし、queだけで済みそうなのに、何で'queue'とueを2回も綴るんでしょうね?同じのを繰り返して、並んでいる感じとか (笑)

語源はラテン語の'cauda'「尻尾」だそうです。音楽用語で曲の終わりに付けられた部分を指す「コーダ(coda)」と同じ語源です。

 

次はここで'wait'「待って」のパターンです。

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"Please wait here." 「ここでお待ちください。」

"Please wait to be called forward." 「ここで前に進むように呼ばれるまでお待ちください。」(列の先頭用)

単純明快です。'queue'を使わない表現としてよく使われています。

 

よく似ているのが'stand'「立つ」を使うもの。

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"Please stand here." 「ここにお立ちください。」

"Stand here while queueing." 「並んで待つ際はここに立ってください。」

"Stand here to queue." 「列に並ぶには、ここにお立ちください。」

このマークの上でじっと立っていてねという感じです。

さらに、付け加えているお願い文は。

"Keep a 2m distance from others." 「他の人と2mの間隔を取ってください。」

"Respect the 2 metre rule." 「2m間隔(を開ける)の決まりを尊重してください。」

 

というわけで、次は'distance'「間隔」を使うパターンです。

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"Please keep your distance." 「距離を取ってください。」

"Please keep a safe distance (of 2 metres)." 「(2mの)安全な距離を取ってください。」

"Keep a safe distance apart where possible." 「可能な場所では安全な距離を開けてください。」

"Please keep social distance while waiting in the queue." 「列で待つ際はソーシャル・ディスタンスを取ってください。」

ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)は日本でもよく使われる用語にもなっているように思います。賛否両論ありますが。

なお、上の写真の左下の"Order at till."は「レジで注文してください。」

'till' = ​(British English) "a machine used in shops, restaurants, etc. for keeping money in, and that shows and records the amount of money received for each thing that is sold"

すなわち、'(cash) register'「レジ」を指すイギリス英語です。

 

その他のパターンを挙げます。

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"Safe distance at all time." 「いつでも安全な距離を」

"We care about your safety." 「私たちはあなた方の安全に注意しています。」

"Stay safe, stay 2m apart." 「安全に、2m離れましょう」

"Please adhere to social distancing." 「社会的距離の確保に従ってください。」

"Please respect social distancing." 「社会的距離を取ることを尊重してください。」

"Please practice social distancing." 「ソーシャル・ディスタンスを実践してください。」

共通語は'safe'や'social distancing'です。他の分類に入れた方がよかったものもありますが…

 

最後にお願いの文がないものです。

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右下のサンダル以外は、2枚組でレストランの利用客と宅配のドライバー/ライダーを別々の列に並ばせるためものです。

 

ここ数日、雨交じりの天気ですが、長い行列でも辛抱強く待っている光景が見られます。店の入り口には係がいて、人数をチェックしながら入る人を制限しています。

政府は感染防止のためのガイドラインを示し、時に立ち入り指導もしていますので、お店も客も自らを守る意味でも大事なルールになっているのです。