倫敦月/アラビア月

英国ロンドンとUAEドバイでの生活と見聞きしたこと、訪れた場所などのことを…

お店再開、即セール (コロナウイルス不況対策)

コロナウイルス対策のロックダウンから小売店が再開したのが6月15日からですから、ほぼ1か月になります。 

pink-supermoon.hatenablog.com

 

これらの店舗で再開直後から目立つのが、大きな'Sale'「セール」の表示。

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元々、イギリスでは6月後半から7月は夏のセールの期間ですが、今年は事情が違います。3月下旬からのロックダウンで3か月近くも閉店を余儀なくされて、どのお店も厳しい資金状況で、キャッシュフローが必要になっています。塩漬けになった季節外れの在庫の処分も必要です。セールによって在庫一掃と運転資金の確保に弾みをつけようとしています。

 

お店のテナント料の支払いが難しいお店も多いと報道されています。政府はロックダウン政策の一つとして、家賃不払いによる立ち退きを禁止していますが、営業が再開したら支払いの要求は強まるでしょうから、お店の経営も大変です。

残念ながら、力尽きて閉店したお店や再開できずにいるお店もあちこちで見かけます。

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まるまるロックダウン見舞われた4月のイギリス経済成長率は-20.4%と大幅に縮小し、小売業の売り上げは-18%の落ち込みでした。これはリーマンショックも霞む、第二次世界大戦後の経済で最も大きな減少で、ニュースで示されたグラフでは4月以前の増減の凸凹が無視できるくらいの、桁違いに大きな落ち込みでした。5月や第2四半期の経済統計が出るのが怖い…

 

また、イギリスの失業率は4月時点で3.9%と低水準を維持していましたが、5月は求職者手当の申請数が+23%と急増しました。これは政府によるコロナウイルス対策の賃金補助の適用です。6月までに労働者の4人に1人がこの補助を利用しましたが、それも10月末までで徐々に縮小される計画です。

一方で、下記のような人員削減のニュースが連日あって、不安を掻き立てます。小売業界では24000人が解雇されたと報道されています。

  • エアライン British Airways 1200人、Virgin 3150人、 Easy Jet クルー1300人・パイロット727人
  • 飲食店 Pret A Manger 1000人、SSP(Upper Crust他) 最大5000人、Burger King 1600人(計画)
  • 郵便 Royal Mail 2000人
  • デパート Harrods 最大700人、Debenhams 1000人以上、JohnLuis 1300人
  • ドラッグストア Boots 4000人
  • 航空機 Airbus 1700人、Bombardier 600人、Rolls Royce 3000人、General Electiric 369人
  • 自動車 Bentley 最大1000人、Aston Martin 500人、日産 250人

 

これらの不安は消費を落ち込ませる恐れもあり、政府は復興計画や雇用対策、消費刺激策を立て続けに発表しました。

ジョンソン首相は総額50憶ポンド(約6700憶円)の経済復興計画「ニュー・ディール」を発表。"build, build, build"をキャッチフレーズに住宅建設やインフラ整備、医療施設拡大等を行うとしました。

www.bbc.co.uk

 

若者への「キックスタート」雇用対策では、若者への賃金支払いの補助、研修生引き受け企業への報奨金、研修生ポストの拡大等を行います。www.bbc.co.u

 

そして、ダメージの大きいサービス業の救済に、飲食店・レジャー施設等の消費税を20%から5%に引き下げ、"Eat out to help out"「(お店を)外食で助けよう」と、8月の月~水曜日は外食料金の半額(一人10ポンドまで、酒類を除く)を政府が負担します。

まあ、少額の外食補助は、「ニュー・ディール (new deal)」ならぬ「ミール・ディール (meal deal)」(サンドイッチ、スナック、飲み物のセット割引)と呼ばれてしまいましたが…

www.bbc.com

 (こちらがイギリスのスーパー・コンビニのMeal deal)

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と、いろいろ批判もあるのですが、コロナウイルスという前例のない脅威に対して、部分的な消費税減税をも含む、様々な政策を打ち出し、国民に首相・大臣が直接アピールしてスピーディーに実行に移しているのを見て、日本との違いを感じるのは確かです。