アンダーグラウンドにはチューブとサブウェイ (英語で地下鉄を何と呼ぶか)
前回の記事に続いて、ロンドンの地下鉄について…
ロンドンでは地下鉄のことを'tube'と呼ぶと聞いてアメリカ人が驚くという会話が、中学生時代の英語のテキストに載っていました。なので、ロンドンで地下鉄が実際に「チューブ」と呼ばれているのを聞いても、改めて驚きはしませんでした。
地下鉄を運営するTfL(Ttansport for London、ロンドン交通局)も'tube'と呼んでいます。
でも、駅の入口を見ると、'underground'と書いてあるのです。
そこで、Oxford Learner's Dictionaryで'tube'を引いてみます。
'tube'の1番目の意味は"a long, hollow pipe made of metal, plastic, rubber, etc., through which liquids or gases move from one place to another"「金属、プラスチック、ゴム等でできており、液体やガスが通る細長い管」です。
そして、「筒」「(練り歯磨きなどの入れ物としての)チューブ」「(オーストラリア俗語)缶ビール」「(人体の器官の)管」に続いて6番目の意味としてこれが出てきます。
" (British English) the underground railway system in London"「(イギリス英語)ロンドンの地下鉄道システム」
つまり、基本的にイギリス英語で「地下鉄」は"(the) underground (railway)"であり、駅にもそう表示されているわけです。
なお、ロンドンの地上鉄道には"(the) overground"と呼ばれる路線もあり、地下と地上を対にした呼び方をしています。
(Shephersbush駅、UndergroundとOvergroundが乗り入れ)
では、なぜロンドンの地下鉄は'tube'と呼ばれるのか。それは、この地下鉄のトンネルの形状に由来します。
次の写真はロンドン地下鉄、セントラル線(Central Line)の駅ですが、プラットホームも、右側に黒く見える列車が通るトンネルも断面が円いことがわかります。これが長々と続いているのですから、'tube'「管」と呼んだのですね。
この管の中を走る列車も円いのです。
そして、車内も円くて、少し長身の人がドアの近くに立つと頭が天井にぶつかります。
ロンドン地下鉄の多くはシールド工法と呼ばれる地中にトンネルを掘削しながら筒状の内壁を継ぎ足して崩れないように支えていく方法で作られたので、このような形状が多く見られます。
ただし、ロンドンの地下鉄でもディストリクト線(District Line)はそこまで円くはありません。
これは、地上からトンネルを掘る方法(開削工法)で作られたという違いによります。同工法の路線には、世界初の地下鉄であるハマースミス&シティー線(Hammersmith & City Line、1863年にPaddington-Farringdon間を開業)、同線との共通区間を持つサークル線(Circle Line)、メトロポリタン線(Metropolitan Line)があり、天井が塞がれていない区間が多くあります。
アメリカ英語では地下鉄を'subway'といいますが、イギリス英語では「地下道」を意味します。
'subway'
⇒ "(North American English) an underground railway system in a city"「(アメリカ英語) 都市の地下鉄道システム」
⇒ "(British English) a path that goes under a road, etc. which people can use to cross to the other side"「(イギリス英語) 反対側に行くことができる道路等の下に延びた通路」
なので、地下鉄駅と地下道の入口を兼ねているところにはこんな表示も。
でも、この語を見るのはサンドイッチ店のサブウェイの方が多いような (笑)
ただし、同じイギリスでもスコットランドのグラスゴー(Glasgow)では地下鉄を'subway'と呼びます。
こんなところにもイングランドとスコットランドの違いを見ることができるのですね。
最後にtubeの発音はイギリスとアメリカで少し異なり、カタカナ的に書くとイギリス「チューブ」(tjuːb)、アメリカ「トゥーブ」(tuːb)です。
スコットランドではどうなんでしょう?