日本の包丁が好き (イギリスに持って来てよかったもの1)
イギリス駐在になって日本で準備して持ってきたものについては、下記の記事にまとめましたが、幾らか補足したいと思います。今回は調理に使う包丁について。
ロンドンで入居したフラットは家具付き(Furnished)で、調理用品や食器も少しありました。そこにあった包丁、というよりナイフ(Knife)のセットがこれです。
大小5本組で、別に専用のホルダーもついていて実に立派です。
でも、残念ながらどうも使いにくいのです。
日本から持ってきた包丁と比べてみると、この通り。
上がイギリスのシェフナイフ、下が日本で広く使われている三徳包丁です。大きさは同じくらいなのですが…
まず、刃の部分の曲がり方が違います。イギリスの包丁は反りが大きくて、大きめの野菜を切るときは押し下げながら角度をつける必要があります。
次に厚み。包丁の背で比べると、日本の方が若干薄いだけですが、そこから刃に向かって連続的に薄くなっています。つまり、背から刃にむけて細長い逆三角形▽。
イギリスの方は背からずっと同じ厚みで、刃まで1cmくらいのところから急に斜めになっています(さかさまにした家型)。下の写真の通り、柄の近くには刃が付いていないのが見えますが、ここは背と同じ厚みです。セットのペティナイフも同じく分厚く、リンゴの皮むきなどしていても、どうも使いにくい。
さらに、どのナイフも切れ味が悪い。私は爪に刃を当てて切れ味を調べるのですが、どのナイフもつるつる滑って不合格。これは前の入居者の使い方が悪いのかもしれませんが。
というわけで、やはり使い慣れた日本の包丁が好きと結論されました。
その日本から持ってきた包丁はこの二つ。
まず、上の写真で示したヘンケルス(Henckels)の三徳包丁(18cm)。ヘンケルスブランドですが日本製(関刃物)です。
そして、スイス・アーミーナイフでお馴染みのヴィクトリノックスの果物ナイフ。
本当に果物専用にしていますが、シンプルイズベストで使いやすい。しかも、安い(笑)
実はイギリスのアマゾンでも三徳包丁を'Santoku knife'として売っていて、ヘンケルスの18cmもあります。でも、54.65ポンド(約7600円)もしますから、日本から持って行った方がずっとお得でしょう(笑)
ヴィクトリノックスの方は5.99ポンド(約830円) で、日本で買うのとほとんど同じ。こちらは日本の包丁ともいえないですね。写真でもわかる通り、このブランドが好きなだけで(笑)
ただし、どんな包丁でも使っている内に切れ味が落ちてきます。
なので、愛用しているのが中・仕上げがセットになったコンビ砥石。簡易研ぎ機(シャープナー)よりも面倒ですが、しっかり切れ味が回復します。
さて、日本の包丁ばかりを持ち上げましたが、イギリスのスーパーで肉のコーナーを見ると、分厚くて細長い包丁が重宝がられている理由も理解できます。
ブロックやステーキ用の分厚いビーフやラム、丸ごとのチキンなど、大きい肉の塊がたくさん売られています。そして、薄切り肉はどこにも見当たりません。
これらを切るのには、厚手の先端のとがったナイフの方が便利なのでしょう。
イギリスに引っ越して、食事をイギリス式の肉食にスパッと切り替えられる方は、洋式の包丁の方があるいは便利かも。
でも、キャベツの千切りも好きだし、ブロック肉を薄切りにしてお好み焼き等もたまには作りたい、リンゴは丸かじりじゃなくて皮をむきたいという方、ナイフを何本も使い分けるなんて面倒という方には、日本式の包丁を持って来るのを強くお勧めします。