ナイフは大人になってから (イギリスのナイフ犯罪と規制)
下記のブログで包丁を日本から持って来るのをお勧めしましたが、もう一つの理由があります。イギリスでは包丁を買うのが日本より面倒だからです。
これはロンドンの生活用品店、Robert Dyasの調理用品売り場です。刃物が施錠されたケースに保管されています。なので、間近で製品を検討することが難しいのです。
注意書きには、2019年から18歳以下には武器になりえる包丁(knife)などを販売できない、ケースを開ける場合は25歳未満に見える人には身分証明書の提示を求めるとあります。
Amazon UK等の通信販売で購入する場合も、受け取り時に配達人に写真付きの身分証明書を見せて、サインをする必要があります。
武器になりえると書きましたが、洋式の包丁(Knife、ナイフと呼びます)を見ると、日本の三徳包丁よりも先端がとがっていて、細身のものが多く、握りもしっかりしていて、確かに刺突用に向いています。
イギリスでは数年来、ナイフ等による犯罪'Knife Crime'が多発していて社会問題になっているのです。このニュースによれば、イングランドとウェールズ(合計の人口は日本の約半数)におけるナイフ犯罪の件数は1年間に46,265件で、前年より6%増加(ロンドンは7%増加)です。1日当たり126.8件、11分に1件とは…
また、1年間の殺人の内、256人が刺殺されています。
十代の犠牲者、傷害被害者も多く発生しており、その対策の一環として18歳未満へのナイフ類の販売が、武器的な刃物の所持と同時に禁止されました。その規制がこちら。
この規制内容は次の通りです。(Knifeを刃物と訳しています)
- 18歳未満への3インチ(7.6cm)を超える刃物の販売禁止
- 正当な理由なく刃物を所持することの禁止(刃渡り3インチ以下の折り畳み式を除く)
- 禁止された種類の刃物の所持、売買の禁止
- 刃物を使った脅迫の禁止(禁止されていない刃物を含む)
ここには武器と認定されて禁止されたものが19種類も挙げられています。
例えば、バタフライナイフ、仕込みナイフ(ベルトのバックル、携帯電話等に偽装したもの)、フリックナイフ(飛び出しナイフ、「スイッチブレード」)。刃物ではありませんが、吹き矢や特殊警棒も入っています。
おやおやと思うのが、'Samurai sword'「サムライソード、日本刀」、'Hollow kubotan'「クボタン」(空手由来の護身具)、'Shuriken'「手裏剣」、'Kusari-gama'「鎖鎌」、'Kyoketsu-shoge'「距跋渉毛」(忍者の武器)、'Kusari or Manrikigusari’「分銅鎖、万力鎖」と日本起源のものが6つも入っています。イギリスではSamurai、Ninjaがそこまで流行っているんでしょうか。
でも、ここまで事細かに挙げて禁止にしなければならないほど、様々な危険な武器が出回っているともいえます。
2019年に規制される前はアマゾンやeBayでも'Zombie knife'(ゾンビナイフ、ホラー映画の戦いに出てくるような大型のナイフ)などが購入できたのであり、未だに多数が出回っていると推測されます。
これは2018年、ロンドン南部の比較的治安が悪いといわれるクロイドン(Croydon)でのショッキングな映像です。
街中に何食わぬ顔でゾンビナイフを持ち歩いている人が紛れ込んでいるかと思うと、寒気がしてきます。