ロンドンのどんぐり・栃の実とリス
最近のロンドンの最高気温は概ね20℃から25℃くらい。下記の記事は急に冷え込んだときに書いたのですが、その後は少し例年よりも高い気温が続いています。
上の記事に書いたどんぐりが色づいてきました。
足元にもいっぱい落ちています。
これらのどんぐりをつける木はオーク(Oak)と呼ばれるナラ(楢)の木です。
日本でよく見かけるコナラと比べると、葉のぎざぎざが丸くて大きく、柏餅を包んでいる葉っぱ(つまりカシワの葉)のようです。
どんぐりは英語で'acorn'。辞書を見ると"the small brown nut of the oak tree, that grows in a base that is like a cup"。どんぐりの帽子は英語でも同じと思ってよく見たら、capではなくてcup(カップ)でした(笑)
こちらの子供たちはどんぐりにあまり興味を示さないのか、通りかかっても見向きもしません。少し拾って、ポケットに入れておきます。
もう一つ、前の記事に書いた茶色くなりかけた街路樹を見上げてみると、木の実が見えます。
足元にもあちこちに落ちています。
一見、栗のようですが、これはセイヨウトチノキ(西洋栃ノ木)の実。
フランス語ではマロニエ(marronnier)と書くと、東京・銀座のマロニエ通りを連想するかもしれません。でも、実際に現地に植えられているのは日本のトチノキと、近種のベニバナトチノキのようです。このトゲトゲの実が落ちてくると大変だからでしょうか。
英語では'horse chestnut'、つまり「馬の栗」。栗(chestnut)と違って渋くて毒もあるので簡単には食べられません。
日本では長時間渋抜きをしてから餅に混ぜて食べられるようにした栃餅があります。『モチモチの木』に出てくるのですが、じさまは大変な手間暇をかけているのだよ >豆太
これも拾っておきます。と思って、うっかりトゲに触ってしまうとその痛いこと…
さて、拾ったドングリを近所の公園に置いておくと…
リスが拾ってかじります。
かわいいと思って近づくと、木の上に逃げたり。
栃の実はどうか?
大きすぎるのか渋いのか、咥えますがすぐにはかじらず、どこかに持って行きました。
この通り、緑が豊富なロンドンにはリスがたくさんいて、身近な動物です。下記の記事で書いたハイド・パークやリージェント・パーク等、中心部の公園でもよく見かけるどころか、観光客がピーナッツ等をあげて近づいてくるのを楽しんでいたりします。
かわいいリスたちと身近に触れ合えるのはいいですね…
とは、簡単にはいかないのです。
ハイド・パーク等にはリスに餌を与えないように注意書きがあります。
一つはリスにかじられる危険のためですが、他にも理由があります。
まず、これらのリスによる被害があること。リスたちは家の屋根裏を痛めたり、配線をかじったり、樹木や庭を荒らしたりします。
下記のリンクはロンドン南東のBromley区のサイトですが、リスをpestの一種として如何にその被害を防ぐべきかが説明されています。これに似た注意が他のあちこちの自治体にあります。
Squirrels | Common pests | London Borough of Bromley
'pest' ⇒ "an insect or animal that destroys plants, food, etc."「植物や食物等を傷める虫・動物」
語源はあの恐ろしい病気のペスト(英語はplague)なので、まさに害獣。
そして、ロンドンにいるハイイロリス(grey squirrel、より正確にはトウブハイイロリス)がアメリカからの外来種であり、イギリス在来のキタリス(red squirrel)を絶滅危惧種に追いやっていること。
詳しくは別の記事にしようと思いますが、ハイイロリスは対策すべき外来生物として政府のリストにも挙げられています。
なので、近所に落ちている木の実だからといって、そばに持って行くのはこれっきりですからね >リスの皆さん