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大人気番組グレート・ブリティッシュ・ベイクオフを見てみたら

イギリスの超人気TV番組、グレート・ブリティッシュ・ベイクオフ (The Great British Bake Off, GBBO)。その第一回の冒頭で放映されたボリス・ジョンソン首相のパロディーからこの番組に興味を持ち、見てみたくなったと先日の記事に書きました。

pink-supermoon.hatenablog.com

 

さて、実際に番組を見てどうだったかといえば…

と、詳しく書く前に注意しなければならないのは、この番組は日本でもブリティッシュ・ベイクオフというタイトルで放映されているから。現在はスカパー!、ケーブルテレビなどのFOXでシーズン8が放映されていて、今日10月11日がその最終日だったようです。

ということは、ここで詳しく書いてしまうと将来の放映のネタバレになってしまうので、どんな番組でどんな進行だったかと、その感想を注意しながら書くとしましょう。

 

グレート・ブリティッシュ・ベイクオフは2010年に始まったイギリスのベーキング、すなわち「オーブンで焼くパン・ケーキ類の調理」の腕をアマチュアが競うコンテスト番組です。毎年秋にChannel 4で放送される大人気番組で、レシピに出てきた材料がスーパーで品薄になるとも噂されるほど。

実際、9月22日の第一回放送は10.8百万人が視聴し、Channel 4の記録を更新したと発表されました。イギリスの人口が66百万人あまりですからほぼ6人に一人と、その人気の高さがよくわかります。

今回はその Series 11。つまりシーズン11ですから、日本より3つ先になります。

(Channel 4の番組概要・出演者・ベイカー紹介等はこちら、リンクのNEWSをクリックしてしまうと各週の結果等がネタバレするので注意)

thegreatbritishbakeoff.co.uk

 

番組にはシリーズ毎に10名強のベイカー (Baker)が参加し、10週に渡ってケーキ、パン、パイ等、その週のテーマに沿ってオーブンを使った菓子やパン類を作ります。第一回のテーマはケーキでした。

そして、毎回三つの課題があります。

  • SIGNATURE BAKE:ベイカーの個性や創造性を競います。各自が事前に準備してきたオリジナルのレシピで、基本的な菓子、パン等を一斉に時間内に焼き上げます。第一回はスポンジ生地をマジパンで包んだバッテンバーグケーキで、仕上げの美しさも問われました。
  • TECHNICAL BAKE:ベイカーの技術、知識を競います。ジャッジが準備した基本的なレシピをその場で示され、全員が同じ材料で作ります。でも、何を作るのかは本番まで知らされず、焼き時間や調味料の量等の細かい条件がありませんし、制限時間が短いので、経験や判断力、あるいは勘が問われます。第一回はパイナップルを載せたアップサイドダウンケーキで、カラメルの量をミスすると膨らまないという代物。
  • SHOWSTOPPER BAKE:番組のクライマックス。ベイカーの総合的な才能とセンスを競う大作です。やはり事前に準備できますが、複雑でレベルの高い課題が与えられ、味と見た目の両方を求められます。第一回は各自が好きな有名人の胸像の形をしたケーキを4時間で作るという課題で、アート的なセンスも問われるものでした。

この課題を見ても、ベイカーたちは普通のアマチュアではなく、プロ並みの腕を要求されていることがわかります。この3課題の総合評価で毎週のベストが選ばれると同時に、1名ずつが退場していき、10週目に残った3人が優勝を競います。

 

さて、そのベイカーたちはといえば、今回は男女6名ずつの計12名。これが実によくできたバランスで、男女同数というだけではなく、年齢は20歳から61歳まで、職業は学生、会計士、警備員、薬剤師、音楽教師など。地元はロンドンやマンチェスターといった都会はもちろん、スコットランドや北アイルランドからコーンウォール(イギリス南西端)まで。アフリカ系、中東系、インド系の民族的ルーツを持つベイカーもいて、このイギリスの様々な要素を網羅しています。

さらに、ベイカーたちの紹介用に家族と一緒に笑っているショートビデオが流れると、全員がいい人に見えて応援したくなるのだから困ったものです。

 

そして番組が始まり、最初のオリジナルレシピでケーキを作り始めると、進行役ノエル・フィールディング (Noel Fielding)とマット・ルーカス (Matt Lucas)の二人が、ベイカーたちに話しかけます。二人のコメディアンが笑いを誘いながら、ベイカーたちの色々な表情を引き出すのです。

同時に調理に取り組む真剣な顔が見られ、上手くできるか心配したり、トラブルが起きて困惑したり、時間内に作り上げてほっとした顔になったり…

それだけでも面白いのに、焼き上げたケーキ類をジャッジのポール・ハリウッド (Paul Hollywood)とプルー・リース (Prue Leith)が試食して褒めたり、問題点を指摘したときの複雑な表情。見ているこちらも、思わず一緒に喜んだり唇を噛んだりしてしまいます。

 

課題のケーキは、焼き方が足りなければ半生だったり崩れたりする一方、焼き過ぎればパサパサになって風味が失われます。時間が足りずに生暖かいケーキに載せたクリームが流れ出すなどデリケートです。ベイカーの工夫したデコレーションは、美しく仕上がるケースもあれば、時間が足りずにハラハラさせられたりも。

さらに、今回は二人のベイカーが接触して出来立ての大切なケーキに予期せぬアクシデントが…

 

この泣き笑いを含む様々なドラマが、ベイカーたちの工夫で見た目にも凝った美味しそうなケーキ類と一緒に見られるのです。

もちろん、最大のドラマはその週の結果発表。最優秀に選ばれたスターベイカーの晴れやかな顔と、残念ながら最下位で退場を余儀なくされたベイカーとの別れ。

このベイカーたちは互いに競い合うライバルでありながら、番組内では、ときに協力したり声を掛け合ったりして、同じゴールを目指しているのです。

しかも、今回はコロナウイルスのロックダウンに対応するため、6週間の間、家族や住む街を離れて、隔離された同じホテルで共同生活をして、文字通りの仲間になっていたのですから。

 

と、第一回を見ただけでその面白さに惹きつけられてしまい、どうも困ったな…

もう、これは英語ヒアリングの時間だと言い聞かせて、決勝まで見届けると覚悟を決めるよりないようです。

 

(番組とは関係ありませんが、ベーキングしたもので何かを形作る一例として)

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