ドバイの第一印象
ロンドンにいた頃ドバイといえば中東の都市であり、空港でエレガントな制服を見かけるエミレーツ航空の本拠地というくらいの認識でした。それに、同僚が家族で旅行してきたというので、近代的なホテルやビーチ、ウォーターパークで遊ぶ観光地といった話が追加された程度。
その内、ドバイに出張で行くことになるかもしれないという話が来たので、下調べとして行き先の場所をグーグルマップで確認しようとして、「ん?」と… 「何だ、この不自然な海岸線は?」
それは、ヤシの木の形をしたパーム・ジュメイラ(Palm Jumeirah)とパーム・ジェベル・アリ(Palm Jebel Ali)、そして世界地図の形をしたザ・ワールド(The World)の人工島群でした。
特に空撮写真で見るザ・ワールドの奇妙さといったら… (下記マップの海の中の点々)
内陸部には、いかにも白紙上にデザインして開発しましたという感じの住宅地が見えます。こうして人工的な都市というイメージが出来上がったのですが、まさかそのドバイに異動することになるとは…
エミレーツ航空の夜行便でそのドバイに着いたのは夜明け前。
空港からのシャトルサービスで仮住まいのホテルに向かう間に見える、広い広い自動車道と沿道の近代的な街並み。そしてホテルの窓から朝日を背景に見えた高層ビル群に、これまでとは異質の都市に来たのだという印象を持ちました。
一眠りして夜行便の寝不足を解消した後、ホテルから出てみたのがドバイマリーナ地区。観光地であり、近代的な高層ビルのホテルがずらりと並んでいます。周りを歩くのは白人の観光客か近隣のカフェ・レストランの呼び込み(南アジアか他の中東各国からの出稼ぎ男性)で、中東をイメージする白、黒の伝統衣装はほとんど見かけません。
ふと、高層ビルの足元にモスクが見えて、やっとイスラム教の国に来たことを実感します。そういえば、お祈りの時間を告げるアザーンが聞こえていたような…
以前に仕事で行ったことのあるトルコのイスタンブールを思い出しますが、起伏のある地形に古いごちゃごちゃした建物が張り付いていた光景と、このドバイの真新しい高層ビル群とではだいぶ雰囲気が違います。この後、日本の友人からドバイの印象を聞かれて送ったEメールに、イスタンブールを平らにして綺麗で新しいところだけを切り抜いた感じと送ってしまいました。
この後、ドバイに住んでみて、これらとは違う景色にも出会うのですが、それらはいずれまた…
ドバイを漢字で書くと?
さて、ドバイに来てこのブログのタイトルに新たな地名を追加しようと考えたのですが、前からの「倫敦月」の形だと「ドバイ月」。何だかしっくり来ないなあと思いながら、さらに「ドバイ」を漢字でどう表記するかを調べたら「迪拜」?中国語ですね。
ロンドンを「倫敦」と表記したのは夏目漱石『倫敦塔』などが出た明治時代ですが、ドバイのあるUAEが独立したのは1971年、ドバイが経済的に発展してきたのはこの20年程度。もはや海外の地名に漢字を当てることはなく、ドバイの漢字表記がないのも当然でしょう。
それに迪(テキ、チャク)は道や進むの意味、拜(ハイ)は拝の旧字体ですが、どちらも今の日本では馴染みのない字なので、これをブログのタイトルにするのはピンときません。
じゃあ、この場所をどう呼んでいたかを調べていて行き当たったのが「アラブ」と「アラビア」。
この国UAEは「アラブ首長国連邦」だから「アラブ月」にしようかと思ったのですが、英語の Arab は "a person from the Middle East or N africa"、中東・北アフリカの人(アラブ人)を指す名詞。そして、「アラビア」やアラブ人に関する形容詞とのこと。
では、その「アラビア」は何かといえば…
おや?Oxford Advanced Leaners Dictionaryにはありませんね。Collinsでは、Arabia: "a great peninsula of SW Asia"、つまりUAEやサウジアラビアのある巨大な半島を指す地名です。
というわけで、「倫敦(ロンドン)月」につなげるには「アラビア」がふさわしいと思ったのですが、漢字表記では「亜剌比亜」。無理やり付けたような、「夜露死苦」(よろしく)、「仏恥義理」(ぶっちぎり)といった昔の不良みたいな。かといって、現代の中国語では「阿拉伯」だそうで、これは読めない。
それで、「アラビア月」とカタカナのままにしました。コロナウイルス流行が治まったらドバイだけでなく周辺国にも行ってみたいという願いも込めて。
なお、Oxfordでは関連する形容詞であっても Arabianは地名に、Arabは人に、Arabicは言葉や文字に使われると説明しています。Japaneseが「日本の」、「日本人」、「日本語」に使われるのとは違うのですね。というより、English、Grerman、Chinese等と違い、なぜアラビアだけが特別なのか?
ついでに、イタリア料理の唐辛子を使ったトマトソース「アラビアータ」も調べておこうと思ったら、イタリア語の 'arrabbiata' 「怒り」を意味していて、アラビアとは何の関係もないとか。ボロネーゼ(ボローニャ風)、ミラネーゼ(ミラノ風)などと同じように、中東風のトマトソースかと想像していたのは全くの誤解だったのでした…
ブログを再スタート
9か月ほどの間、ブログの更新をせずにいました。
この間、身の回りが大きく変わりました。そして、元のペースに戻れず、ブログに戻る気力も失ったままだったのです。
最も大きな変化はイギリスのロンドンからアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに移ったこと。
コロナウイルスのパンデミックも仕事や生活に大きく影響しました。
ブログを書くきっかけになったあることにも変化があり…
そして、そのまま押し流されるように日々が過ぎていったのですが、ブログを続けていた頃の情報収集の習慣は残っていて、気が付くとロンドンでの書き残しも、ドバイでの新たなストックも、それなりの量になっています。
最近、生活を見直そうと思い立ったこともあり、それらのロンドンの書き残しや思い出、新たなドバイでの日々について、また書き綴ってみようと思った次第です。
ブログを再スタートです。
今夜(9/21)はきれいな満月でした。
どこで見ても月はいっしょなのだなと、少し感傷的になりながらも、明るい気持ちにで部屋に戻り、そしてこの文章を書いています。
中秋の名月と呼ぼうか、ハーベストムーンと呼ぼうか…
街のクリスマスツリーたち
いよいよクリスマス当日です。
ロンドンのあちこちで見かけたクリスマスツリーや飾りの写真を載せていきます。
寒い冬の夜も楽しませてくれてありがとう… また来年!
まあ、お正月飾りに切り替わっていく日本とは違って、これらのツリーたちは明日以降も当分は残っているのですけれど…
年が明けてしばらくして、アパートの廊下にツリーの葉っぱが落ちているのを見て、ニューイヤーホリデーが終ったことを知るでしょう。
My Favorite Things/私の好きなものたち - ティファニーのクリスマス動画
Youtubeの動画の冒頭、こちらの動向と時期に合わせた広告の動画が流れてきます。
クリスマスが近づいてきた11月に増えてきたのがティファニー (Tiffany & Co.)の動画。
同じころ、日本の知り合いの女性が10年前の同じくティファニーのクリスマス動画のことを話していました。
彼女が「私のティファニーのイメージは10年間変わらずこれ」というのがこの動画です。
クリスマスソングの定番の一つ、"Have Yourself A Merry Little Christmas"に合わせて、恋人や夫である男性から女性へティファニーのジュエリーをプレゼントするというイメージです。
それに対して、今年、2020年バージョンはこちら。
女性二人がジュエリーを手にはじけるような笑顔を見せ、そこに男性の影はありません。
流れるのはMary J. Blige が歌う"My Favorite Things"。その歌詞には「バラの上の雨粒、子猫のひげ、光る銅のケトル…」と「私の好きなものたち」を挙げていきます。
女性が誰かからプレゼントされるのではなく、自分が好きなものを手にして楽しむというものになりました。
黒人女性も登場します。
10年の間にティファニーも世の中の動きに合わせてイメージを変えてきていることを実感するのです。
そこで、ティファニーのこれまでのクリスマス動画を見ていくと、ずっと男性から女性へプレゼントというイメージだったのが、2016年に女性単独を主体にしたバージョンが登場しました。
2017年は人すら出てこないジェンダーフリーバージョンへ。
一方で、「ティファニーブルー」として知られる青い色の箱は一貫してこのブランドのイメージを守り続けています。
このティファニーブルーは1845年に創業者のティファニー自身によって選ばれた色で、これを使った箱が1866年にはジュエリーと同じくらい有名になったと、同社のウェブページに載っています。商標登録されており、この色を用いたファッショングッズも展開されています。
The Tiffany Blue Box® | Tiffany & Co.
ティファニーの長い歴史の中で時代に合わせて変えていくところと大切に守り続けていくところが見えてきます。
実際のティファニーのお店には今年も男女のペアが並んでいるのを目にするのですがね。
ロンドンはロックダウンに再突入しましたから、正確には「並んでいた」というべきですか…
ロンドンの長い夜のウィンドウショッピング
昨日、ロンドンの美しいクリスマスのイルミネーションを記事にしましたが、美しく飾られているのはそれらのクリスマスライトだけではありません。
それらが照らすお店もここぞとばかりに美しく飾りつけられています。高級ブランドには縁がなくても、ウィンドウショッピングに飽きることはありません。
カメラに収めたそれらショウウィンドウの様子を以下に挙げてみます。
リバティー (Liberty) - ロンドンを代表する老舗百貨店の一つ
フォートナム&メイソン (Fortnum & Mason) - ピカデリーの高級食品店
百貨店ハロッズ (Harrods)のショーウィンドウに並ぶブランドの数々。
カルティエ (Cartier)
ティファニー (Tiffany & Co.)
シャネル (Chanel)
ディオール (Dior)
シュタイフ (Steiff) - テディベアでお馴染み
エルメネジルド・ゼニア (Ermenegildo Zegna) - イタリアンファッション
マッカラン (Macallan) - スコッチウイスキーのこちらはロンドンエディション
ハロッズそのものが巨大なギフトボックスのようなものかも
今度はニュー・ボンド・ストリート (New Bond Street)のブランドショップ。
ヴィクトリノックス (Victorinox)
ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)
IWC
ロンシャン (Longchamp) - ポケモンセンターではありません
エルメス (Hermes)
ブードルス (Boodles)
ルイ・ヴィトン (Louis Vuitton)は建物そのものが絵になる光景
その向かいのシャネル (Chanel)も
さらにカルティエ (Cartier)
ティファニー (Tiffany & Co.)のショーウィンドウはティファニーブルーのツリーの向こうに。
他の通りで見かけたブランドショップです。
ディオール (Dior)
プラダ (Prada)
コーディングス (Cordings)
サヴィル・ロウ (Savile Row)の紳士服店もいいですね。
我々の目を楽しませてくれるのは、必ずしも高級ブランドだけではありません。
デンマーク・ストリート (Denmark Street)の楽器店
書店も
オックスフォード・ストリート (Oxford Street)に行ってみます。
セルフリッジ (Selfridges) - これでロンドンを代表するデパートを制覇できた気分(笑)
ジョン・ルイス (John Lewis)
ウェイトローズ (Waitrose)
ソーホー (Soho)の個性的な店々
レスター・スクエア (Leicester Square)の方に行ってみます。
紅茶のTWG
レゴ・ストア (The Lego Store)
こんな小物たちもすてきです
歩き回って、お腹がすきました(笑)
今週のロンドンはコロナウイルス対策がTier 4に厳しくなり生活必需品以外のお店は閉店させられています。中心街にも行けていませんが、これらのショーウィンドウはどうなっているのでしょうか…
ロンドンの長い夜を飾る光 - ストリートのクリスマスライト -
前回の記事でロンドンを含むイギリスのロックダウンともいえる厳しいコロナウイルス対策規制について「長くて暗い夜」と書きましたが、この地の夜の長さを感じ始めるのは10月の終わり頃。
この写真は10月22日午後6時の様子です。
そしてこれは10月26日の同じく午後6時。
カメラの撮影条件を変えたわけではありません。10月25日の日曜日に夏時間 (BST, British Summer Time) が終り、日没時間が約1時間早くなったのです。10月26日の夕方に用事を済ませて、もう一か所と心づもりしていた用件ができなくなってしまい、時間の切り替わりを実感しました。
夏時間のことをアメリカなどで 'Day Light Saving Time' 「昼の光を節約する時間」と呼ぶ所以です。
その分だけ長くて暗い夜が冬の間続くのですから、楽しいクリスマスに向けて夜の街を美しく飾るイルミネーション、クリスマスライト(Christmas Light)がロンドンのあちこちの通りで見られます。
中でも最も大掛かりなのはこの二か所ではないでしょうか。
オックスフォード・ストリート (Oxford Street) - ロンドンでのショッピングに世界中から人が集まる大通り -
リージェント・ストリート (Regent Street) - 美しい石造りの建物が曲線状に並ぶロンドンを代表するショッピング街 -
他の街でも大きなところも小さなところもそれぞれに美しい光のストリートを演出しています。
ニュー・ボンド・ストリート (New Bond Street) - 高級ブランドショップやギャラリーが並ぶ通り -
サウス・モルトン・ストリート (South Molton Street) - メイフェアの一角にある高級ショッピング街、歩行者専用 -
デイビーズ・ストリート (Davies Street) - ホテルなどが並ぶメイフェアの通り -
ノース・オードリー・ストリート (North Audley Street) - 同じくメイフェアの小さな通り -
サヴィル・ロウ (Savile Row) - 「背広」の語源になった高級紳士服店が並ぶ通り -
カーナビー (Carnaby) - 個性的なお店が連なるソーホーの一角 -
スローン・ストリート (Sloane Street) とスローン・スクエア (Sloane Square) - 閑静な高級アパートとブティック、美容サロン等が並ぶ通り、北へ行けばナイツブリッジ -
ストランド (Strand) - トラファルガー・クスエアから北東へ延びる大通り -
ヴィリアーズ・ストリート (Villiers Street) - チャリングクロス駅の東脇の細い通り -
ロンドンのあちこちで見かけ、時間を忘れてシャッターを切ったクリスマスの光を挙げてみました。
そして、これらの街を飾ったお店やパブ、レストランの人達が、クリスマスを目前にしてロックダウン状態でどうしているかを思うと、心が痛むのです。
(追記) これらの通りのお店のショウウィンドウについても記事にしました。