イートアウトtoヘルプアウトは大好評(イギリスの外食半額補助制度のその後)
イギリスの外食産業支援策、"Eat Out to Help Out"(「外食で助け合い」の意)の期間が終わりました。
8月中の月・火・水曜日に外食費用の半額を政府が一人最高10ポンドまで補助する、つまり半額で飲食できるという制度で、下記の記事にもしましたが、その手軽さと身近さが大好評でした。
その成果を政府がまとめた結果がこのウェブページです。
予想を上回る1憶食以上の利用があり、180万人の雇用を援助するものであったと自己評価しています。
これまでの申請件数は13万件、5憶2千2百万ポンド(約730憶円)で、さらに増える見込みです。
月・火・水曜日のレストラン予約数を前年と比べると、7月は54%も少なかったのが、8月は一転して53%も増加しました。特に最終日の8月31日月曜日は休日だったこともあり、前年の2倍以上の予約があったとのこと。確かに、街のあちこちに長い行列ができていました。
そして、補助が終った9月1日火曜日のレストラン予約は前年より2%増加。7月が大きく落ち込んでいたことを考えると、需要が戻ったかのようです。
キャンペーンが終って、レストラン側も今後の利用急減を心配していない訳ではありません。
この勢いが続くことを望んで独自の半額キャンペーンを継続しているところがいくつもあります。
"Eat Out" extendedといったキーワードで検索すると、頑張るお店を紹介したページが見つかります。そして、このキャンペーンがお店側にも好評であったことがうかがえます。
これはその一つ。ホームメードパスタのPasta Remoli (W5 2TD)。8月までと同じ月~水の50%割引を9月いっぱい続けてくれます。
こちらのインド料理店(Laguna, W13 9BD)も同じく9月の間延長するので、"Eat Out to Help Out"のステッカーを残しています。お酒は対象外ですが…
この制度が発表されたときは、外食を少し割引するだけで、まるで"Meal Deal" (ミール・ディール、サンドイッチと飲み物のセット割引)だと陰口をたたかれましたが…
(この記事の末尾に載せました)
結果的には外歩きの増える夏にうってつけの政策として広く受け入れられました。
このキャンペーンの顔ともいうべきリシ・スナク財務相(Rishi Sunak, Chancellor)はツイッターでこう語っています。
雇用を守るために、私たちは創造的かつ勇敢に、かつてどの国の政府も行ったことのないことを試みる必要があります。
レストランのオーナーやウェイター、シェフ、そして利用者の皆さんに対し、Eat Out to Help Outを受け入れ、景気回復を後押ししてくれたことに感謝します。
To protect jobs we need to be creative, brave and try things that no government has ever done before.
— Rishi Sunak (@RishiSunak) September 4, 2020
I want to thank everyone from restaurant owners to waiters, chefs and diners, for embracing Eat Out to Help Out and helping drive our economic recovery. https://t.co/6Ft7BQXbkF pic.twitter.com/6neIFjIw8r
ここで「受け入れる」と訳した'embracing'の本来の意味は「抱きしめる」。もう大好きという感じがします。
そして、このツイートの動画には"Looks like you were hungry"「あなたお腹すいてたみたい」。ええ、1億食も出たのですからね(笑)
まさにユニークなキャンペーンであった"Eat Out to Help Out"は、不幸な年の明るい夏を盛り上げた出来事として記憶されると思います。
そして、スナク財務相が次に力を入れている若年層の就職支援策「キックスタート」もよいスタートを切って欲しいと願います。
開始が遅れている日本の"Go To Eat"キャンペーンはさらに大きい2000憶円の予算が計画されていますね。ぜひ、広く活用され、誰もが楽しめる制度になりますように。