コロナに負けない身体づくり! (イギリスのロックダウンとスポーツジム)
イギリスのコロナウイルス対策の規制緩和として大きなニュースになったレストラン・パブの営業再開は7月4日でした。
ところが、それよりも営業再開が遅れた業種がいくつかありました。その一つが7月25日まで再開を待たされたスポーツジムです。
(営業再開をアピールするジム)
再開が遅くなった理由の一つはジムのコロナウイルス対策のガイドラインの検討に時間がかかったため。多数の人が室内に出入りし、設備や器具を共用したり、大きな呼吸をするといったことが課題でした。
そのガイドラインに従って、ジムではかなり念入りな対策が実施されました。
利用者間の距離(ソーシャルディスタンス)の確保、頻繁な器具の清掃と消毒剤(ハンドジェル)の常備、入場者数の制限や事前予約の導入、利用者の健康状態チェック等です。
例えば、距離を取るために使えない箇所を設けて、足元のステッカーによって表示したりします。
エアロビクスやヨガ教室のようなスタジオプログラムは中止したり、人数をごく少数に限るといった制約を受けています。
マシーンも一台置きに使わざるを得なくなり、利用者も不便を強いられています。
健康意識の高まりや肥満対策の必要性が訴えられていたことから、コロナウイルス禍の前はイギリスの成人の約14%がスポーツジムの会員になっているといわれる程、有望な産業でした。
それがロックダウンによる4か月以上の営業停止により会員数が20%も減りました。営業停止を理由とした会員のキャンセルができる・できないが問題化したところもあります。新たにジム会員になるのをためらう人も多く、ジムの経営は大きく揺らいでいます。
自然、営業再開と共に会員募集に力を入れ、スポーツのメリットやコロナウイルス対策が取られていることをアピールしていました。
(清掃に力を入れていることをアピール)
8月の外食産業支援の政府補助キャンペーン、"Eat Out to Help Out"で食べ過ぎた後は、"Work Out to Help Out"(運動して人助け)だとのアピールもありました。(※注1)
それが今週木曜日(11/5)からの第二次ロックダウンで不要不急の外出禁止、生活に必須ではない施設の閉鎖により、ジムも再び営業停止になります。
ジム業界は肥満によるコロナウイルスの重症化防止のため、ジムは必要な設備だと訴えましたが、残念ながら営業継続は実現しませんでした…
本当に残念です!
長期のジムの閉鎖でなまっていた身体を動かして、ようやくロックダウン前のレベルにまで筋力が戻ってきたところだったのに!!
しかも、春先のロックダウンとは異なり、この晩秋の時期はどんどん夜が長くなり、朝・夕ともに暗いのです。
もうサマータイムの長く明るい夕方に戸外のジョギングを楽しめる季節ではなくなりました。
私たち、仕事を持つ社会人が平日に運動するには、自宅の室内で行うか、暗くて寒い朝夕の戸外かの選択しかありません。
イギリス政府も肥満防止の重要性は強く認識しており、この夏には新たな肥満対策政策を始めていました。成人の3人に2人が体重過多とされている国ですから。
しかも、ジョンソン首相自身が4月のコロナウイルス感染が重症化した反省として、減量に取り組んでいました。
Losing weight is hard but with some small changes we can all feel fitter and healthier.
— Boris Johnson (@BorisJohnson) 2020年7月27日
If we all do our bit, we can reduce our health risks and protect ourselves against coronavirus – as well as taking pressure off the NHS.
Our Better Health Strategy https://t.co/WdazXhuhRN pic.twitter.com/KZhW8p17FJ
ジョンソン首相は有名トレーナーを雇い、バッキンガム宮殿の周りを走る許可を女王陛下から得るなどして、26ポンド(約12kg)も減量したそうです。
(でも、一番効果的だったのは砂糖たっぷりの間食を控えたことだという話もあります。報じたのはThe SUNですが…)
確かに最近の記者会見の映像を去年と比べると、胴回りや顔つきがスッキリしています。
だから、運動の大切さは政府もよく認識しているのでしょう?
1か月の第二次ロックダウンの期間が終ったら、ジムは優先的に再開させる業種にしてくださいね。
そうしないと、コロナウイルスに罹っても大丈夫さと言い放って、病院行きの専用ヘリや特別医療チームがあるからでしょうと突っ込まれた某大統領のようになりますよ。
だから… 運動習慣でコロナに打ち勝とう!
"Keeping Heart Rates Up and R Rates Down"「心拍数を上げて、感染率(R値)を下げよう!」
※注1:'Work Out'は「トレーニングをする」の意味でも使われます。
'work out' (phrasal verb)
1. to train the body by physical exercise「肉体運動によって身体を鍛える」
- How to work out at home without equipment.
- 10-minute home cardio workout - NHS
2. to develop in a successful way「成功する方向へ進展する、うまくいく」
- I hope the new job works out for you.