倫敦月/アラビア月

英国ロンドンとUAEドバイでの生活と見聞きしたこと、訪れた場所などのことを…

フランスも自主隔離対象に逆戻り (イギリスのコロナウイルス水際対策)

ヨーロッパ各国でコロナウイルス感染者がじわじわと増え続け、ついにフランス、オランダもイギリス入国時の自主隔離対象国に後戻りしてしまいました。

 

イギリスが入国者に義務付けている14日間の自主隔離を免除する'Travel corridors'「旅行通路」の対象国リストから、スペインを除外すると7月25日土曜日の夕方に発表して、その夜0時から適用。

これによるスペインへの夏休みの旅行者たちの困惑や混乱ぶりを書いたのが下記の記事です。

pink-supermoon.hatenablog.com

 

8月6日木曜日の夜にベルギー他2か国の除外を発表した際は、8日土曜日未明の4時から適用と、1日の猶予が取られました。

そして今回、8月13日木曜日の夜にフランス、オランダ、モナコ、マルタ他2か国の除外を発表して、やはり15日土曜日未明の4時から適用です。

 

フランスはスペインに次ぐ第2の旅行先の人気国で、16万人のイギリス人が滞在中と推定されていました。

8月14日金曜日。フランスでの夏休みを中断して、何千人(thousands)と表現されるホリデーメーカー達がイギリスに戻ろうと空港へ、駅へ、港へと殺到しました。

これらのニュースがその状況をどう報じているかを少し拾ってみます。

www.bbc.co.uk

news.sky.com

多くのホリデーメーカーたちが夏休み後の仕事などへの影響を懸念して、大慌てで荷物をまとめて帰国へ。

南フランスに車で出かけていた人たちはとうてい間に合わず、自主隔離をする覚悟を決めたケースが多数ある模様。

でも、航空便、ユーロスター、ユーロトンネルの予約はすぐに満席。航空便の価格は土曜日が66ポンドなのに対して金曜日は450ポンドに値上がり。同じくユーロスターも165ポンドが210ポンドへ。ドーバー海峡のフェリーは増便で対応。

しかし、これらの交通機関は来週からは利用者が激減して、厳しい経営が待っているはずなのです。

 

政府の決定を発表したシャップス運輸相は、冒頭に挙げたブログ記事に書いた通り、スペインの除外の際に自分も対象者になってしまい、夏休みの切り上げと自主隔離を経験済みでした。

そのシャップス大臣曰く、「直ぐに戻ろうとしてもガッカリしながら行列を作るだけです。まず旅行会社に相談してください。」「スペインで起きたことがフランスでも起きるのは、別に驚くことではありません。」

説得力がありますね…

 

さて、こちらはユーロスターでパリから戻ろうとする人々の行列…

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ただし、一週間前のものです、ごめんなさい。

 

正に、イギリスからの海外旅行はギャンブルになってしまったわけで、この写真の人たち、そして何事もなく次の記事を書くことができた私は、ぎりぎりセーフだったのですね…

pink-supermoon.hatenablog.com

 

この記事にも書きましたが、イギリスに入国・帰国する場合は、事前にオンラインで滞在先・連絡方法等を事細かに申告し、入国審査で提示する必要があります。

入国後はその場所に14日間自主隔離をしているかを、当局が簡単に追跡できるわけで、違反が判明すれば最大1000ポンド(約14万円)の罰金です。

これからイギリスに戻る人たちが、イライラしたり、うんざりしながらオンライン申告をする姿が想像できます。

 

(渡航者所在申告書-Public Health Passenger Locator Form-の入力項目の多さはこの通り)

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VJ Day(対日戦勝記念日)が来る

明日、8月15日は日本では「終戦の日」、その日本と戦っていたイギリスでは「対日戦勝記念日」(Victory over Japan)、VJ Dayです。

ve-vjday75.gov.uk

ウィキペディア日本語版には、イギリスは対日戦勝記念日を9月2日(降伏文書調印の日)にしていると記載されていますが、上記のリンクの通りイギリス政府は8月15日としています。

終戦の日 - Wikipedia

 

今年は75周年の節目の年なので例年よりも大きく報道されています。コロナウイルスのために大規模には行われませんが、記念と追悼の行事やテレビ番組が予定されています。

www.bbc.co.uk

 

東南アジアからインドにかけての日英戦におけるイギリス連邦の犠牲者は約71000人とされています。

主な戦場は香港、マレー半島、シンガポール、ミャンマー、インド北東部(インパール)、マレー半島沖・インドネシア周辺やセイロン島沖の海戦等。アフリカ東方のマダガスカルへの日本潜水艦による攻撃や、沖縄戦における英軍艦への日本軍機の体当たり攻撃もありました。

日本軍による捕虜への虐待や泰緬鉄道建設での強制労働も知られています。

 

今年の注目の人、キャプテン・サー・トムもミャンマーでの対日戦に従軍しました。

新聞によると捕虜になった場合の自殺用毒薬を持っていたそうです。それを恐れることはなかったと語っていますが、 旧日本軍の捕虜に対する扱いの過酷さが共有されていたことを示す一例だと感じました。

pink-supermoon.hatenablog.com

 

イギリスの戦いは対ドイツ戦の方がはるかに大きいので、国全体としての関心やイベントは5月8日のヨーロッパ戦勝記念日、VE Dayの方が大々的です。当日は、実際に街を歩いていても、テレビ番組でも記念日であることを強く印象付けられました。

pink-supermoon.hatenablog.com

 

この日と同じように、自宅の窓を飾る小旗の画像も配付されています。

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昨年の8月15日はイタリアに旅行中だったため、特別なイベントに出くわすことはありませんでした。枢軸国の一角であったイタリアは、連合国に降伏の後、日本に対して宣戦布告しましたが、直接の戦闘はなかったので。

75周年の今年は、ロンドンで何に触れ、何を感じ取るのか、関心を高めて迎えたいと思います。

チューブの車両に冷房がつくのは2030年 (ロンドン地下鉄の困った点)

前回に引き続き、ロンドンの地下鉄'The Tube'について書きます。

pink-supermoon.hatenablog.com

 

上記の記事でロンドンの地下鉄のトンネルの掘り方が二通りあったことを書きました。一つは地中に円い穴を開けていくシールド工法、もう一つは地上から溝のように掘っていく開削工法。

夏の地下鉄は開削工法の路線の方が断然快適です。冷房がついているから!

こちらはその開削工法のディストリクト線(District Line)。天井にエアコンが見えます。

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他の冷房付き路線はサークル線、ハマースミス&シティ線、メトロポリタン線(Circle, Hammersmith & City, and Metropolitan lines)の3路線だけ。

そして、こちらはシールド工法のセントラル線(Central Line)。円い天井にはエアコンがなく、窓の上の換気口しかありません。

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ロンドンの地下鉄が「チューブ」と呼ばれる由来になった、円いトンネルを走る車両には冷房がありません。そして、この「チューブ」状の路線の方がずっと多いのです。

ロンドンは世界初の地下鉄が走った街。設備が古い上に多くの駅やトンネルが地中深くにあるため、熱を逃がす換気が十分にできず、地上よりも地下鉄の方が高温になることも多いのです。これらの路線にエアコン車両が導入されるのは2030年という悠長な計画で、駅の通路に置かれた大きな扇風機や送風機が回っているのもよく見る光景です。(開削工法の路線の車両にエアコンが付いたのも2010年以降ですが…)

 

さらに、換気が不十分なので、空気の汚染が起きやすいという問題もあります。このニュースによると、汚染がひどい地下鉄駅の方が地上の混んだ道路脇よりも30倍も微粒子が多く飛んでいるとか。

www.bbc.co.uk

 

そして騒音。日本の厚労省による騒音障害防止のためのガイドラインでは90dB以上の職場では耳栓などの防音保護具が必須です。下記のニュースではロンドンの地下鉄で平均的にそれを超える騒音が生じる区間が10か所もあるというのです。

その一つ、セントラル線のホランド・パーク付近では、確かに列車はキーキーと甲高い音を出すため、耳を塞ぐ対策を取っています。

そのためか、地下鉄内でノイズキャンセリング付きのヘッドフォンを付けている人を多数見かけます。

www.bbc.co.uk

 

その他にも遅れが日常茶飯事だとか、エレベーターがない駅が多いとか、工事による運休が多いとか、車内に監視カメラがない路線(セントラル線、ベーカールー線、ピカデリー線)と性犯罪の関係とか、鼠がよく出るとか、地下鉄での問題は山積みです。

とはいえ、地下鉄を使わずにロンドンに住むのも難しいのは確かですですが。

 

さて、ここ数日、ロンドンも30℃をはるかに超える熱波に覆われたり、局所的な激しい雷雨になったりして、気候変動の影響と考える人も多いようです。昨年はグレタ・トゥーンベリさんへの注目もあって、抗議活動を見聞きする機会も多くありました。

でも、不満や主張があるからといって地下鉄車両の上で抗議活動をするのは危険です。特にラッシュアワーとか、ロンドン東部の駅とかでは。警察が来る前に、怒る乗客たちに引きずり降ろされますから。

youtu.be

アンダーグラウンドにはチューブとサブウェイ (英語で地下鉄を何と呼ぶか)

前回の記事に続いて、ロンドンの地下鉄について…

pink-supermoon.hatenablog.com

ロンドンでは地下鉄のことを'tube'と呼ぶと聞いてアメリカ人が驚くという会話が、中学生時代の英語のテキストに載っていました。なので、ロンドンで地下鉄が実際に「チューブ」と呼ばれているのを聞いても、改めて驚きはしませんでした。

地下鉄を運営するTfL(Ttansport for London、ロンドン交通局)も'tube'と呼んでいます。

Tube - Transport for London

 

でも、駅の入口を見ると、'underground'と書いてあるのです。

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そこで、Oxford Learner's Dictionaryで'tube'を引いてみます。

'tube'の1番目の意味は"a long, hollow pipe made of metal, plastic, rubber, etc., through which liquids or gases move from one place to another"「金属、プラスチック、ゴム等でできており、液体やガスが通る細長い管」です。

そして、「筒」「(練り歯磨きなどの入れ物としての)チューブ」「(オーストラリア俗語)缶ビール」「(人体の器官の)管」に続いて6番目の意味としてこれが出てきます。

" (British English) the underground railway system in London"「(イギリス英語)ロンドンの地下鉄道システム」

 

つまり、基本的にイギリス英語で「地下鉄」は"(the) underground (railway)"であり、駅にもそう表示されているわけです。

なお、ロンドンの地上鉄道には"(the) overground"と呼ばれる路線もあり、地下と地上を対にした呼び方をしています。

(Shephersbush駅、UndergroundとOvergroundが乗り入れ)

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では、なぜロンドンの地下鉄は'tube'と呼ばれるのか。それは、この地下鉄のトンネルの形状に由来します。

次の写真はロンドン地下鉄、セントラル線(Central Line)の駅ですが、プラットホームも、右側に黒く見える列車が通るトンネルも断面が円いことがわかります。これが長々と続いているのですから、'tube'「管」と呼んだのですね。

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この管の中を走る列車も円いのです。

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そして、車内も円くて、少し長身の人がドアの近くに立つと頭が天井にぶつかります。

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ロンドン地下鉄の多くはシールド工法と呼ばれる地中にトンネルを掘削しながら筒状の内壁を継ぎ足して崩れないように支えていく方法で作られたので、このような形状が多く見られます。

ja.wikipedia.org 

ただし、ロンドンの地下鉄でもディストリクト線(District Line)はそこまで円くはありません。

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これは、地上からトンネルを掘る方法(開削工法)で作られたという違いによります。同工法の路線には、世界初の地下鉄であるハマースミス&シティー線(Hammersmith & City Line、1863年にPaddington-Farringdon間を開業)、同線との共通区間を持つサークル線(Circle Line)、メトロポリタン線(Metropolitan Line)があり、天井が塞がれていない区間が多くあります。

 

アメリカ英語では地下鉄を'subway'といいますが、イギリス英語では「地下道」を意味します。 

'subway'

⇒ "(North American English) an underground railway system in a city"「(アメリカ英語) 都市の地下鉄道システム」

⇒ ​"(British English) a path that goes under a road, etc. which people can use to cross to the other side"「(イギリス英語) 反対側に行くことができる道路等の下に延びた通路」

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なので、地下鉄駅と地下道の入口を兼ねているところにはこんな表示も。

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でも、この語を見るのはサンドイッチ店のサブウェイの方が多いような (笑)

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ただし、同じイギリスでもスコットランドのグラスゴー(Glasgow)では地下鉄を'subway'と呼びます。

こんなところにもイングランドとスコットランドの違いを見ることができるのですね。

www.spt.co.uk

 

最後にtubeの発音はイギリスとアメリカで少し異なり、カタカナ的に書くとイギリス「チューブ」(tjuːb)、アメリカ「トゥーブ」(tuːb)です。

スコットランドではどうなんでしょう?

ロンドン地下鉄の広告が減っている?

久しぶりにロンドン中心部で地下鉄に乗って、ふと視線を上げると詩が目に入って来ました。TfL (Transport for London、ロンドン交通局)の広告で、"Poems for the Underground"「地下鉄のためのポエム」と銘打っています。

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コロナウイルスで不安な時期にいい詩だなと思いながら改めて周りを見てみると…

乗客が少ないのと同時に、広告が少ないことに違和感を覚えました。窓の上の広告の多くはTfLによる注意書きや詩で、半分は何も表示されていません。商品やイベントの広告はごくわずかです。

(中央ドア左のオレンジ色の広告は「閉まるドアに注意」、右手窓上の広告はTfL自らのポスター展の案内)

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地下鉄車内の詩は以前からあるのですが、これまでは他のポスターに埋もれて、目に入らなかったように思います。

Poems on the Underground - Wikipedia

 

駅はどうかと見ると、やはりTfL自らのポスターが目立ちます(丸に横棒が目印)。

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既に終わった(というより、ロックダウンで中断した)ミュージカルや美術展のポスターが残っていたり。 

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地下から地上に向かうエスカレーターの横にも多数のポスターがあり、ロンドンの地下鉄の一つの特徴でした。これもTfLの標語集のように。

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そして驚いたのが、KFC(イギリスではケンタッキーフライドチキンをこう呼びます)のバーガーの写真が載ったポスター!

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というのも、TfLは肥満防止のためとして糖分、脂肪、塩分が多い「ジャンクフード」の広告を2019年2月に禁止したからです。以前に多く見られたファストフード店、バーガー、ジュース、スナック等の広告が一斉に姿を消しました。

上の広告はジャンクフードそのものではなく、その宅配サービスのものですが、規制開始の直後には、ベーコン、バター、ジャム、卵(!)の写真ですらダメと指摘された食品宅配サービスがあったほどです。

www.bbc.co.uk

 

コロナウイルス対策のため人々の外出や通勤が減っています。利用者が少なければ、そこに広告を出すメリットは失われるでしょう。

広告主の企業でも、広告費を削減したところが少なくないと思われます。

 

TfLも収入が大幅に減り、コロナウイルスによる損失は40憶ポンド(約5500憶円)に上ると見込まれ、7000人の職員を自宅待機にするといった苦境にあります。

でも、志高く設定した規制をなし崩しにするようなことはどうか…

 

記事冒頭の詩(Cicery Herbert "Everything changes")では、こういっています。

What's happened has happened. それは起こってしまった

Poisons poured into the sea 海に毒薬は流れ出してしまった

...

but, everything changes.  でも、全ては変わっていく

We plant trees for those born later. 後から生まれた者たちのために木を植えよう

 

コロナウイルスとの共存が避けられない今だからこそ、地下鉄の広告も未来志向でいて欲しいものです。

コロナウイルス対策下のフランス・イギリス入国手続き

ユーロスターを使ってロンドンからパリに往復してきました。

コロナウイルスが流行し始めて以来、ほぼ半年ぶりのイギリス国外への移動でした。その際、フランス入国、イギリス入国でそれぞれコロナウイルス対策の手続きが増えていましたので、2020年8月上旬の状況として記しておきます。

(パリ北駅にて)

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まず、ロンドンからパリへの往路です。以前と異なっていたのは下記の点でした。

  • ユーロスターのウェブページ(下記のリンク)にコロナウイルス関連の注意事項が示されている。

(ユーロスターのコロナウイルス関連情報・注意事項のウェブページ)

www.eurostar.com

  • 便数が減少。以前は約1時間毎だったが、現在は約1.5時間毎。始発は遅く、最終は早い。
  • フランスに入国する16歳以上は全員、コロナウイルスの症状がなく・感染者に接触していないことの宣誓書(Sworn Statement、下記に詳細)の携行が必要。上記リンクのページから、フランス行きの重要事項(Essential info for travel to France)の箇所で用紙のPDFファイルをダウンロードできる。セント・パンクラス駅(St Pancras International)でも駅係員が用紙を配っていた。
  • 駅構内、列車内ではマスク等のフェイスカバーを着用する必要がある。
  • 席の間隔を取るために、事前の座席予約が変更になることがある。自動改札の際、黄色い変更票が出て指示される。
  • 待合スペースの椅子には一つ置きに使用しないよう注意を促すシールが貼られていた。各所に手の消毒薬が出るスタンドがあった。テイクアウトのコーヒーカップを持っている人がいたのでカフェは営業していたと思われる。
  • 列車内の飲食物の販売は停止。ペットボトル入り等の保安検査装置を通せる飲み物は持ち込み可能(こぼれるものは不可、容量制限なし)。

 

宣誓書(コロナウイルスの症状、及び感染者への接触がないこと、Sworn Statement of Absence of COVID-19 Symptoms and of Contact with Confirmed Cases)の記入項目は次の通りです。

  • Mr/Ms: <氏名
  • Born on: <生年月日> (日/月/年の順に)
  • Nationality: <国籍
  • Residing at: <住所
  • (過去14日間に感染者と接触しておらず、48時間以内に発熱、寒気、倦怠感、息切れ、筋肉痛、頭痛、味覚・嗅覚異常、異常な下痢がないこと証明する)
  • Done at on <記入日> , at h <時刻、hの左に時、右に分> Signature: <サイン

なお、この宣誓書は日本からフランスに入国するときにも必要です。

 

朝一番の便を利用するため、発車のおよそ1時間30分前に駅に着きましたが、まだ改札は開いていませんでした。ほどなく、係員の指示で入場の列を指示され、誓約書用紙の配付はこの時点で行われました。

フランスへの入国審査(パスポートのチェック、マスクを外すよう指示あり)、荷物の保安検査は以前と変わりなく、特に時間を要することはありませんでした。

車内でも終点のパリ北駅(Paris Gare du Nord)でも、宣誓書の提示を求められたり、発熱等をチェックされることはなく、拍子抜けしました。

(始発約1時間前のセント・パンクラス駅待合室、椅子は一つ置きに間隔を取るよう表示)

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次はパリからロンドンへの復路で、往路と異なる点を記します。

  • イギリスに入国する18歳以上は全員、出発の48時間以内に渡航者所在申告書(Public Health Passenger Locator Form)のフォームをオンラインで入力し、入力済みのPDFを印刷しておくか、スマホ等にダウンロードして見せられるようにしておく必要がある。
  • 改札に向かう入口で係員が、水を持っているか、中では飲物は手に入らないぞと知らせていた。
  • フランスの出国審査は通常通り。イギリスへの入国審査では、フランスへの入国日、他の国に行かなかったか、コロナウイルスの症状はないか、コロナウイルス感染者に接触しなかったかを質問された。さらにBRPカード(イギリスのビザ取得者の在留許可証)と、上記の通知票の提示を求められた。
  • 改札内では、お土産用チョコレート店を除く飲食店は営業していなかった。

 

なお、上記の所在申告書も先のユーロスターのウェブページにあり、下記にリンクします。全てオンライン入力が必要で、手書きで記入することはできません。また、Eメールアドレスが必要です。

www.gov.uk

このリンク先には、まず、なぜこの申告が必要かが説明されており、ページ下部の'Start now'をクリックして、データ入力に進みます。以下が入力項目です。

  1. システム登録のためのメールアドレスとパスワードを入力
  2. この入力が自分用か、他人用かを選択。他人用の場合はその理由(子の保護者等)が必要。
  3. 電話番号とそれがイギリス国内用か国外用か、回線電話か携帯電話か等を入力。
  4. 他の電話番号を持っているか。
  5. 電話で連絡できるか、SMSで連絡できるかを選択。いずれか、または両方で連絡できない場合は理由を入力。
  6. 名(Given name)と苗字(Family name)。
  7. 6で入力した以外の氏名を使ったことがあれば入力。
  8. イギリス到着の年月日、時刻、イギリス出国予定日(あれば)。
  9. 性別
  10. 生年月日
  11. パスポート番号、発行日、有効期限
  12. イギリスに滞在するか、乗り継ぎか等
  13. イギリス到着の場所(空港・駅等)、交通機関会社名、予約番号、便名、座席(わかれば)
  14. グループの一員か(団体旅行、会社等)
  15. 18歳未満の同行者(フォームへの入力不要)の有無
  16. 滞在していた国(複数入力も可能)とその入国、出国日
  17. 自主隔離を免除される条件に該当するか(アイルランドからの入国、外交官、定期便パイロット等、入力ページのリンクから確認可能)
  18. イギリスでの滞在先、同居人の氏名、住所、滞在開始・終了日
  19. 入国後14日以内での別の滞在場所(ある場合)
  20. 緊急時の連絡者名、電話番号、Eメールアドレス

以上を入力してチェックしたら、'Submit'をクリックして登録し、入力済みのフォーム(PDF)をダウンロードしておきます。登録したEメールアドレスにも同じPDFが送られてきます。

これを印刷しておくか、スマホ等に表示できるようにして、イギリスへの入国審査時に提示します。パリ北駅では審査官のカウンターの小さな隙間からスマホを中に入れました。

 

このようにフランスの書類準備は楽なのに対して、イギリスは面倒です。全て英文の説明を読みながらの入力には時間がかかりますので、早めの準備が必要です。

(フランスの宣誓書、1枚のみで手書きでOK)

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(イギリスの申告書PDF、オンライン入力のみ、3枚分)

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ロンドンのセント・パンクラス駅に到着して出口に向かう際、出口直前で係員から別の列に行くように指示される人が20人に1人程の割合でいました。抜き打ちで健康チェックをしているのではないかと想像しました。

 

ヨーロッパ各地でコロナウイルス感染者が増えており、下記の記事にしたように、イギリス政府はスペインからの入国者(帰国者を含む)に2週間の自主隔離を再度義務付けました。その後、ベルギー、ルクセンブルク等も追加されています。

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そして、次はフランスかと取り沙汰されています。イギリスの申告書の細かさを見ると、自主隔離に該当したときのチェックも厳しそうに思え、ホリデーメーカーはますます憂鬱です…

news.sky.com

イートアウトでヘルプアウト (イギリスの外食半額補助制度)

コロナウイルス対策のロックダウンで長らく閉店していたパブ、カフェ、レストランは7月4日の「スーパー・サタデー」から営業を再開しましたが…

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3か月以上にわたる閉店の痛手は大きく、ウイルス対策が必要な上に、人々の外出を避ける心理もあって、直ぐに元通りという訳にはいきません。

そこで政府が経済活性化も兼ねて打ち出した政策が、名付けて"Eat Out to Help Out"「イートアウト・トゥ・ヘルプアウト」で、昨日(8/3)から始まりました。

  • 'eat out' ⇒ "​to have a meal in a restaurant, etc. rather than at home"「自宅ではなくレストラン等で食事をとること」
  • 'help somebody out' ⇒ "to help somebody, especially in a difficult situation"「他の人を手助けすること、特に困った状況にある人を」

つまり、「外食で人助け」政策ですが、韻を踏んでリズム感があります。これを揶揄した'Meal Deal'もそうですけどね(下記の記事参照)。

pink-supermoon.hatenablog.com

 

具体的には8月の月・火・水曜日に飲食代金の半分を一人当たり最高10ポンド(約1400円)まで政府が補助します。つまり、利用者は20ポンドまでなら半額、それ以上なら10ポンドの割引です。ただし、お酒やサービスチャージは含まれず、テイクアウト(Take away)には適用されません。

一日に何回利用してもOKで、申請書等は不要です。

詳しくはこの政府のウェブページに示してあります。

www.gov.uk

ただし、利用できるのは、この制度に登録した店に限られます。なので、登録店ではこのようなポスター等で対応していることを知らせています。

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実は、上の政府のウェブページからリンクをたどると、このポスターや共通のロゴのPDFをダウンロードでき、使い方も指示されているのです。

だから、お店オリジナルのポスターにも同じフォーマットで"Eat Out to Help Out"と表示されていて非常にわかりやすく、手際の良さに感心します。

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 同ウェブページにはこの制度の不正利用を告発するためのリンクまであります。

なお、この制度はイギリス版「Go to Eat」キャンペーンと日本のニュースに載っていますが、発表(7/8)から実施(8/3)まで1か月もかかっておらず、そのスピードにも感心します。

 

また、試作バージョンですが、こちらの政府ウェブサイトでは、住所のポストコードを入力すれば5マイル以内にある対応店を検索することができます。(イギリスでは郵便番号に当たるPostcodeが細かく割り振られており、コードを入力するだけで地点が特定できます)

www.tax.service.gov.uk

 

例えば、上のウェブページにポストコードとして'SW1A 2AA'を入力すると、100件がヒットして、下の図のように近い順に表示されます。なお、チェーン店は除外されている場合があり、ページ内のリンクで調べられます。

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これを見て、「近いのはカフェ・コンチェルトのホワイトホール店だけど、ケーキ食べて太るなってキャリーに怒られそう」とか、「次は最高裁判所のカフェか… 穴場のいい店だけど去年の違憲判決を思い出すな」などと、どこに行くかを検討できるのですね。

'SW1A 2AA'はロンドンのダウニング街10番地、首相官邸です。